2006年9月14日(木)「しんぶん赤旗」

戦犯に恩給 日本共産党の態度は?


 〈問い〉 戦犯への恩給支給は「全政党一致でされた」とテレビ討論でいっていましたが、日本共産党も賛成したのですか? その経過、恩給額などを教えてください。(京都・一読者)

 〈答え〉 全会一致でA級戦犯の赦免決議や恩給支給の法改正がされたのだから「戦犯は復権」されたという議論を自民党がしていますが、日本共産党はその両方に反対しています。また、決議などがあったとしても、有罪判決が取り消されたわけでも侵略戦争の罪がなくなったわけでもありません。

 敗戦後、戦争犯罪者や公職追放者の恩給は、廃止されました。連合軍最高司令官の指示をうけて、政府は、1946年2月「恩給法の特例に関する件」(ポツダム勅令68号)によって、傷病恩給以外の旧軍人軍属への恩給、遺族に支給する扶助料、戦犯・公職追放者への恩給などを廃止しました。

 ところが政府は、平和条約発効から1年後の53年8月、旧軍人恩給を復活し、戦犯者の恩給、扶助料も復活されました。拘禁中の者への支給は停止したものの、裁判で有罪の判決を受けた者とその遺族に、恩給を受ける権利、資格を与えました。54年には、戦犯拘禁中に獄死・死刑になった者の遺族に、戦死者に与えられる公務扶助料と同額の扶助料の支給を決めました。71年には恩給通算期間の制限を撤廃し、戦犯としての拘禁期間をすべて通算できるようにしました。戦争犯罪者の復権は、戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、法廷が科した刑を執行するという平和条約第11条の国際公約に反し、戦争犯罪を免罪するものにほかなりません。

 日本共産党は、戦犯の復権はもちろん軍人恩給復活に反対しました。岩間正男参院議員(故人)は、軍人恩給を復活させる法案審議のなかで、旧軍隊の階級をもとに恩給額をきめる体系について、「大将未亡人には年間14万円、二等兵の未亡人にはわずか2万4千円しか与えられないのであります。本当に生活にあえいでいるのは二等兵の遺族であります」(53年3月本会議)と告発しています。さらに「政府は一切の再軍備のための予算を、社会保障の拡大や教育文化予算にまわし、戦傷病者、遺家族をはじめとするすべての戦争犠牲者、生活困窮者の生活を保障すべきであります」(同)と主張しています。

 A級戦犯・容疑者の恩給額は、個々人によって違いがあります。76年当時、旧大臣や旧陸軍中将ら6〜7人が受給していましたが、年額250〜350万円と試算できます。当時、一般下級兵士の最低保障額が31万5千円(65歳以上、実在職年9年以上)でしたから、いかに戦犯など上級軍人が優遇されていたかがわかります。その後、恩給制度は、高齢者や寡婦に加算措置を設けるなど、社会保障の要素を一定とり入れました。今日、日本共産党は恩給制度について、老後を安心して生活できる給付水準の確保、上級軍人優遇の「上厚下薄」給付体系の是正などを主張しています。(稲)

 〔2006・9・14(木)〕


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp