2006年9月20日(水)「しんぶん赤旗」

“イラク崩壊の危機”

国連総長 国際的協力訴え


 【ニューヨーク=鎌塚由美】国連のアナン事務総長は十八日、国連本部で開かれたイラク支援のための国際会合で演説し、「もし現在の排斥と暴力のパターンが継続するなら、イラクの国家が崩壊する重大な危機があり、全面的な内戦に陥る可能性がある」と警告しました。同総長がイラクの「全面的な内戦」の可能性に言及したのは初めてです。

 アナン氏は先週、中東歴訪終了後、中東地域のほとんどの指導者が米国のイラク侵略は「災厄だったと考えている」と米国を批判していました。今回の演説はこのコメントに続くものです。

 アナン氏は演説でイラク情勢の悪化について、「イラクの人々の日常生活には継続的な宗派間の暴力と内乱の脅威が支配している」と述べ、「まったく断腸の思いである」と強調しました。

 「イラクの指導者と国民は岐路に立っている」とも述べ、宗派間の対立や地域対立を乗り越えるよう訴えました。

 そして、「イラクの平和には国内の解決努力と地域の協力」が欠かせないと述べ、イラクの近隣諸国にイラクの安定化への協力を呼びかけました。

 また、「国際社会がイラクと強い協力関係を築く好機」としてイラク復興支援の国際的枠組みとなる「イラク・コンパクト(協定)」の策定に言及しました。

 イラクの政治・経済・治安分野への国際社会の支援策定を目指す同会合には、イラクのタラバニ大統領や米国のライス国務長官ら約三十カ国・機関の代表が出席しました。


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