2006年9月21日(木)「しんぶん赤旗」
自民総裁に安倍氏
教育基本法改悪が「最重要」
自民党は二十日、小泉純一郎総裁の後継を選ぶ総裁選の党員票開票と国会議員の投開票を行い、安倍晋三官房長官(51)を新総裁に選出しました。安倍氏は二十五日に自民党役員人事、臨時国会召集日の二十六日に首相指名選挙を経て閣僚人事に着手する考えです。
安倍氏は有効投票数七百二票の66%にあたる四百六十四票を獲得しましたが、目標とした七割には届きませんでした。二位は麻生太郎外相(66)の百三十六票、三位の谷垣禎一財務相(61)は百二票でした。党員投票の投票率は61・45%で、前回二〇〇三年(69・33%)より8ポイント近く減りました。
同日の記者会見で、安倍氏は「改革は止めてはならない、改革を加速させていくと訴えてきた。人口減少のなかでいままでの構造をそのままにしたのでは日本の将来はない」とのべ、弱肉強食の「構造改革」を継承することを宣言しました。
同時に「二十一世紀にふさわしい国づくりについて歩みを始めていく」と強調し、総裁選期間中に訴えてきた憲法改定への意欲をにじませました。
臨時国会では継続審議の教育基本法改悪法案を「最重要法案としてとりくみたい」と明言。テロ特措法の延長も課題に挙げました。消費税増税については「上げないといったことは一回もない。税率引き上げを含め税制の抜本的改革のなかで考える」とのべました。
経済政策については「規制緩和は進めなければならない」と、大企業向けの投資減税にもとりくむ考えを示しました。
安倍氏は父親の故安倍晋太郎元外相の後を受け一九九三年に初当選し、連続五期。祖父は太平洋戦争開戦時の東条内閣の商工相で、A級戦犯容疑者の故岸信介元首相。森内閣で官房副長官、小泉内閣のもとで幹事長、幹事長代理、官房長官を歴任しました。戦後生まれ初、自民党史上最年少の総裁で、任期は二〇〇九年九月まで。
「たしかな野党」として安倍新体制と対決
志位委員長が談話
日本共産党の志位和夫委員長は二十日、安倍晋三氏が自民党新総裁に就任したことについて、次の談話を発表しました。
五年間にわたる小泉政権のもとで、自民党政治のゆきづまりは内政・外交のすべての面でいっそう進行し、国民の苦難は耐えがたいものとなった。安倍新体制にこのゆきづまりの打開を期待することはできない。それどころか、安倍氏のこれまでの政治的言動をみるならば、安倍新体制のもとでこのゆきづまりはますます深刻なものとならざるをえないだろう。
とりわけ、侵略戦争と植民地支配の問題についての安倍氏の態度は重大である。首相在任中、「靖国参拝」をくりかえした小泉首相でさえ、「植民地支配と侵略」への「反省」をのべた九五年の村山首相談話と認識を「共有」するとしていた。これにたいして安倍氏は、政府が公式に表明した歴史認識を共有することをかたくなに拒否している。
安倍氏のこうした歴史認識における重大な逆行、憲法改定への強い志向にたいして、多くの日本国民と少なくない国ぐにから危惧(きぐ)と批判の声があがっていることは当然のことである。
日本共産党は、自民党政治に正面から立ち向かう「たしかな野党」として、安倍新体制ときっぱり対決し、憲法と教育基本法の改悪などわが国の進路を危うくする悪政の進行を阻止することに全力をつくすとともに、国民の切実な要求を実現するために国会の内外で奮闘する。