2006年9月27日(水)「しんぶん赤旗」

庶民大増税 なぜなぜ問答

財源論編 15

Q “金持ち増税”はやる気を奪う?(中)


 大資産家といわれる人たちの税負担を考える場合に忘れてはならないのは、こうした人々の所得の中には、最高税率が適用されないような種類の所得が多いということです。土地の売却収入や、株式売却収入、株式配当などです。

 たとえば、五年以上保有していた土地を売った場合、これによる所得(売却収入マイナス取得費・譲渡費用)については、他の所得とは分けて税金を計算します。この場合の税率は、所得税15%、住民税5%で、合計20%です。

特例措置

 株式を売った場合の所得(株式譲渡所得=売却収入マイナス取得費・譲渡費用)についても、他の所得とは別に計算します。税率は二〇〇二年までは所得税20%、住民税6%でしたが、〇三年に小泉内閣が税率を改定し、「所得税15%、住民税5%」に引き下げたうえに、〇七年までの五年間は「所得税7%、住民税3%」とする特例措置まで設けてしまいました。

 株式配当についても、〇二年まではほかの所得と合算して課税していたのを、〇三年からは譲渡所得と同様に所得税7%、住民税3%を納めるだけですむように変更してしまいました。

 実際には、年収が何億円もあるような人の場合、土地や株取引などによる収入が多くを占めています。〇四年度の国税庁の統計によると、申告所得五千万円超の納税者のうち、三人に一人に土地譲渡所得、六人に一人に株式譲渡所得があります。この層の所得の43%が、土地や株取引による所得です。

1億円超

 この人たちの平均所得は一億円を超えています。これに最高税率が適用されるならば、税負担率は所得税・住民税あわせて42%くらいになるはずです。

 しかし国税庁のデータで負担率を計算すると、所得税だけだと25%くらい、住民税を含めた値を推計しても37%くらいにしかなりません。これは、土地や株取引の所得には低い税率しか適用されないからです。

 このように、「最高税率50%」といっても、実際の大資産家の税負担率は、50%よりずっと低くなっているのです。(つづく)

表

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