2006年9月29日(金)「しんぶん赤旗」
“靖国史観の是正を”
米政府・議会・メディアから
安倍政権に注文
安倍新内閣の発足を機に、首相の靖国神社参拝や侵略戦争正当化の誤った歴史観の是正を求める声が海外から一斉におこっています。特に米国からは議会やメディアに加えて現職の国務長官までが注文をのべるなど、これまでの政権交代ではみられなかった異例の事態になっています。
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二十七日付の米紙ニューヨーク・タイムズは「安倍晋三氏のアジアにおける課題」と題した社説を掲載し、小泉首相の誤りは「醜い侵略の歴史を美化した」ことだったと指摘。安倍首相にたいし「過去の失敗を大胆に捨て去る必要がある」「第一歩として前首相が挑発的に繰り返した靖国神社参拝をやめると宣言すべきだ」と要求しました。
ワシントン・ポスト紙も二十五日付の社説で、安倍氏について「過去をごまかすことでは小泉首相より上だ。安倍氏は東京裁判の正当性を疑問視してきた」と指摘。「新首相は歴史に誠実でなければならない」「過去の誤りを認めないなら責任ある民主主義として受け入れられないだろう」とのべました。
主要メディアの厳しい対日観は、米議会に反映した米国内世論をうけたものです。安倍政権発足直前に開かれた米下院外交委員会ではハイド委員長が「事実に基づかない靖国神社の歴史観は是正を求める」と発言。次期委員長就任が取りざたされるラントス議員は「ナチス指導者に花輪をささげるようなもの」と靖国参拝中止を求めました。
こうした批判をうけ米政府の対応にも変化がでています。ライス国務長官は二十六日、メディアからの質問に、日中関係打開は「過去に問題があったことを認めてこそ前進できる」「政治的意思が必要だ」と安倍首相に注文をつけました。ブッシュ政権はこれまで日米首脳会談などで日中問題を内々にとりあげてきたものの、表向きは静観の態度をとっていました。
時事通信によると、国務省の日本部長経験者は、安倍首相はワシントンで一般的には歓迎されているものの「安倍氏がこれまであいまいにしてきた靖国神社参拝がどうなるか、みんなじっと見ている」とのべています。