2006年9月30日(土)「しんぶん赤旗」
ゆきづまりの自覚も打開策もない
首相所信表明 志位委員長が感想
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日本共産党の志位和夫委員長は二十九日、国会内で、安倍晋三首相の所信表明演説に対する感想を記者団に問われ、次のようにのべました。
――安倍首相の所信表明演説への感想は。
志位和夫委員長 いま自民党の政治がこれだけゆきづまっているのに、それに対する自覚もないし、打開の方途もみられないものだった。
外交問題では、歴史問題が大問題になっている。にもかかわらず、靖国参拝の問題についても、自らの歴史認識についても一切語らなかった。内政の問題でも、格差社会をどうするのか。これだけ問題になっているのに、「再チャレンジ」という言葉だけで、中身がない。
国民が一番、知りたい、打開を願っている問題についての中身がなにもなかった。
そして、憲法を変える、教育基本法を変える、集団的自衛権を行使できるようにするという、危険な「戦争する国づくり」という方向だけが見えた演説だった。
――とくに印象に残った問題点は。
志位 集団的自衛権の問題では、憲法上どこまでが禁じられているかを研究するとのべた。逆にいうと、憲法上どこまでやれるかをはっきりさせるという言い方で踏み込んだものだ。
これまで、集団的自衛権はどんなものであれ、憲法上許されない、(これは)日本に武力攻撃がないもとでの武力の行使だから、海外での武力の行使は許されないというのが政府の見解だった。集団的自衛権のなかでも憲法上許されるものがある、それを研究するとのべたのは、踏み込んだ発言であり、重大だ。
しかもこの発言は、「日米同盟がより効果的に機能」するためという文脈のなかでのものだ。アメリカと一緒に海外で戦争をするために集団的自衛権の検討を明言したのはたいへんに重大だ。
――どういう点を論戦ではただしていきますか。
志位 代表質問では、第一に歴史問題、靖国参拝、首相自身の歴史認識の問題をただしたい。第二に、憲法と教育基本法という重要問題についての認識をただしたい。第三に、暮らしの問題では、「格差社会」、貧困の広がりにどう対応するのかについてただしたい。
――小泉純一郎前首相の演説との違いは。
志位 小泉前首相は小泉氏なりの一つの迫力を感じることもあったが、安倍首相にはそれもない。官僚が書いたペーパーを読んでいる印象だ。