2006年10月2日(月)「しんぶん赤旗」
ゆうPress
フリーターの声 政治へ
マックに有休認めさせた若者
共産党の市議候補に
埼玉・草加 斉藤ゆうじさん
若者のバイトで人気が高いハンバーガー店の日本マクドナルド(本社・東京)に有給休暇を認めさせた埼玉県草加市の斉藤ゆうじさん(28)が、日本共産党から草加市議選(10月29日告示、11月5日投票)に立候補します。「フリーターにも生きる権利がある。若者の声を政治に生かしたい」。マイクを握る手に力が入ります。(菅野尚夫)
自分から動かないと 世の中変わらない
「共産党の候補者になってほしい」という話が党草加市議団長の大野ミヨ子さんからあったのは四カ月前のこと。斉藤さんは、パソコンやデジタルカメラなどの商品をインターネットで通販する会社で働いて一年三カ月たったころでした。ちょうどアルバイトから正社員になり、「課長になってほしい」という話があったばかりでした。
多いときで週に三回は徹夜でした。成果主義賃金で、社内で三本の指に入るくらい評価が高かった斉藤さん。「重要な部署で、責任を持たされていました。一人抜けて大変になるのは働いている仲間なんです。辞めたらその人たちを困らせることになる。私を信頼して取引をしてくれている人もいる。仲間を思うと退職できなかった」
仲間の激励
再三にわたる立候補の要請に、どう断るのか悩んでいた斉藤さん。バンド仲間の古谷美穂さん(25)に相談しました。「なんで断るの? 私はやってほしいというのが希望よ」。美穂さんのアドバイスは新鮮で驚きでした。
幼いときに母を亡くし、自営業の父親は、不況で廃業。美穂さんは家を失い、ホームレスやフリーターを二段ベッドの相部屋に格安で宿泊させて、仕事をあっせんしている「レストボックス」に半年間寝泊まりしました。仕事は時給の安いバイトばかりです。
社会の矛盾と荒波を体験した美穂さんはきっぱりと言いました。「政治は『何をやっているんだ』と感じることばかりよ。(市議候補なんて)だれにでもくるような話じゃないよね。どの道を選ぶのかは、斉藤君自身が自分で選択すればいいと思う。でも、私はやってほしい」
「やめたほうがいいよ」と言ってくれると思っていた斉藤さんは考えました。「僕らと同じ普通の若者が政治のことをしっかり考えていた。若者の声を取り上げる議員がいてもいい」
すぐに大野市議に承諾の電話をしました。
HPで話題
「あのマックでバイトくんが『有給休暇』 大失業時代負けてたまるか」。そんな見出しの特集が週刊誌に載ったのは二〇〇一年九月のことです。本紙が斉藤さんのたたかいを「マックのバイト 有休とれた」と一面(写真)で報道。週刊誌やインターネットのホームページで取り上げられて話題になったのです。
斉藤さんのたたかいはその後も続きました。二〇〇二年夏、土、日曜日はディズニーランドでバイト。「新規採用のバイトの時給を百円下げる」という問題が持ち上がり、日本共産党千葉県委員会に相談しました。
「あしたを担う若者が苦しむ社会は間違っている。一緒に社会を変えよう」という入党の呼び掛けに「ぼくらの悩みや困難に真正面から受け止めてくれ、解決の道を示してくれる」と入党しました。
小さな勇気
二〇〇三年、東京都内の不動産会社に正社員として採用されたときのことです。仕事は早朝から終電車に間に合うまでの長時間労働。睡眠時間は五時間で慢性的な寝不足になり、斉藤さんは遅刻しました。
「明日から来なくていい」。一回の遅刻で解雇されました。マックでの経験から一人でも加盟できる労働組合に相談。交渉して解雇予告手当七十万円をもらいました。
マクドナルドに「有休をください」と言ったときは「勇気がいった」という斉藤さん。「自分から動かないと世の中は何にも変わらない」といいます。
「『嫌なら辞めたらいいじゃない』という若者もいます。逃げたら同じことで、明日はわが身に降りかかってきます。自分の選択肢を狭めます。強いリーダーを待っていても政治は何にも変わらない。おかしいことは『おかしいぞ』と、小さな勇気を出して言いましょう」
斉藤さんは、いま駅頭宣伝に立ち続けています。
勉強家で若者に人気
日本共産党草加市議団長の大野ミヨ子さんの話 斉藤さんはしっかりした権利意識と人権感覚をもっています。よく勉強をしていて、未来が明るくなるような若者です。
市民の身近な要求を取り上げて市と交渉し、実現させました。客引きなど迷惑行為を禁止する条例を制定している市に調査に行ったり、既に議員と同じぐらいの活動をしています。
小学生や中学生から握手を求められたり、「頑張ってください」という手紙をもらうなど若い人たちの人気ものです。ぜひとも議員となって、多くの若者に希望を与えてほしい。
お悩みHunter
付き合って2年の彼 最近は物足りなくて
Q いまの彼氏と付き合って二年ほどになります。誠実なところがすきなんですが最近、物足りないのです。仕事も大変で精神的に余裕がなさそう。話をしていても楽しくありません。もっと仕事をバリバリやってユーモアがある人、例えば俳優の唐沢寿明さんのような人がいいな、と思うようになりました。これって浮気でしょうか。(23歳、女性。千葉県)
理解しあい はぐくむ努力を
A 浮気ではないと思いますよ。ヨン様を追いかけて韓国まで行くご婦人方もいるのですから、あなたが唐沢寿明さんのようなタイプの男性が好きだというだけで「浮気」とは言わないと思います。
ただ、恋人同士の関係は、お互いに理解しあい、はぐくむ努力みたいなものが、ときには必要かもしれません。あなたの場合、彼から得られない不満があって、「唐沢寿明さんみたいな人」と思う気持ちになったのではないでしょうか。
はじめのうちは「好き」という気持ちだけでつながっていられます。でも、さまざまな生活の変化や状況の変化などによって、「好き」というだけでは続かなくなることもありますよね。まだ彼を「好き」と思う気持ちがあるならば、彼がなぜ、精神的に余裕がないのか、どんな仕事の状況にあるのか、どう大変なのか、聞いて理解しようと試みてはどうでしょう。新たな彼の一面がかいま見られるかもしれません。そして、あなたの素直な気持ちを彼に話してみることをおすすめします。そこから二人の新たなはぐくみが始まるのではないでしょうか。
自分の正直な気持ちを打ち明けたり、相手の心の底を話してもらうのは、照れくささやはずかしさがあります。でも、好きだからこそ、お互いを大切に思うからこそできることのように思います。
舞台女優 有馬 理恵さん
「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。