2006年10月5日(木)「しんぶん赤旗」
これが「美しい国」か
格差・貧困・容赦ない増税
参院本会議 市田書記局長が代表質問
「これがどうして『美しい国』といえるのか」―日本共産党の市田忠義書記局長は四日、参院本会議で代表質問に立ち、歴史認識から暮らしの問題まで、国民のきびしい生活実態も示しながら安倍晋三首相の政治姿勢をただしました。
「歴史の誤り認めてこそ謙虚」
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安倍首相は歴史認識で「政治家は謙虚であるべきだ」として語ることを回避しています。市田氏は「過去の戦争に対する認識は首相として避けて通れない問題だ」と提起。日本、ドイツ、イタリアのおこなった侵略戦争への明確な審判と反省の上に立った戦後の世界と日本の原点にもとづき、「誤りを真しに認めることこそ本当の謙虚さだ」とただしました。
その上で「その戦争が侵略戦争であったかどうかで一番大事なことは、それが自国の領土拡張や他国の支配をめざした戦争だったかどうかだ」と指摘。日本の戦争を「アジア解放の正義の戦争」とみなす靖国神社と同じ立場に立つのかと迫りました。
安倍首相は「靖国神社がご指摘のような立場を有するかどうかわからない」として、「特定の歴史観の是非について政治家が語ることについては謙虚であるべきだ」との答弁を繰り返しました。小泉純一郎前首相の「靖国神社の考えは政府と違う」という答弁よりも後退したものです。
安倍首相の「教育改革」について市田氏は「地域の公立学校同士を競争させて成果主義で淘汰(とうた)する。これが義務教育のあり方でしょうか」と批判しました。安倍首相は「外部評価の導入が必要だ」とかたくなな考えに終始しました。
格差と貧困、暮らしの問題について「『誰でも再チャレンジが可能な社会を』―これほどうつろに響いた言葉はない」と所信表明を批評した市田氏。非正規雇用の拡大を防ぐため「改悪された働くルールを少なくとも元に戻すべきではないか」と迫りました。安倍首相は「多様な働き方を選択できるようにするための必要な改革であった」と正当化しました。
さらに庶民いじめの増税の一方で、大企業、高額所得者の優遇措置が温存されている逆立ちぶりを告発。新たな負担増と庶民増税の中止・凍結、法人税・高額所得者に対する減税・優遇措置の見直しを求めました。
市田氏は、安倍首相の唱える「美しい国、日本」にたいし、「医療から見放された人々がもがき苦しみ、将来に希望の持てない若者があふれる国、これが、どうして『美しい国』といえるのか」と批判。大企業中心から国民生活中心の経済政策への転換を求めました。