2006年10月5日(木)「しんぶん赤旗」

「従軍慰安婦」否定 撤回を

埼玉知事に謝罪求め集会

元慰安婦が証言


 埼玉県の「上田知事の『従軍慰安婦』否定発言を問う県民連絡会」は三日夜、上田清司知事の発言撤回と謝罪を求め、歴史認識を問う集会を、さいたま市浦和区の埼玉会館で開き、約七十人が参加しました。

 集会では、韓国の元「従軍慰安婦」である李容洙(イ・ヨンス)さん(77)=韓国・大邱(テグ)在住=が、十六歳当時に強制連行のうえ「従軍慰安婦」にされた実態を、日本語と韓国語で証言しました。日本の海軍軍人を輸送する船で中国・大連から特攻隊基地のあった台湾・新竹に輸送され、新竹で収容されていた建物は当時の基地敷地内にあったなどと発言。「私こそが確実な証人だ」とのべ、「従軍慰安婦はいなかった」とする上田知事の発言を批判しました。

 西野瑠美子・VAWW―NETジャパン共同代表は、李さんの証言や当時の日本軍・政府の資料から、「従軍慰安婦」の徴集や輸送に軍・政府が関与していたことは明白だと指摘。「小泉前首相は、『従軍慰安婦』への軍の関与を認めた一九九三年の河野洋平官房長官談話の立場だと明言したが、安倍首相はそこまで踏み込んでいない」とのべ、「従軍慰安婦」を否定する議員連盟のメンバーで固めた安倍内閣を批判しました。

 集会では、憲法・教育基本法改悪に反対し歴史の逆行を許さないために行動するよう呼びかけがありました。

 同県民連絡会は三日午後、集会に先立ち「従軍慰安婦」についての知事発言の撤回と謝罪を再度求める上田知事あての要請書を提出しました。

 李容洙さんは上田知事との面会を申し入れていましたが、拒否されました。連絡会によれば、打ち合わせの中で、知事側から「韓国政府(大使館)から紹介があれば会うが、一般市民ならば会わない」などの発言があったといいます。

 県庁内で記者会見した李さんは、「『従軍慰安婦』はいないと言う以上、上田知事は私たち被害者と直接会う義務がある。なぜ私から逃げるのか」と怒りをあらわにしました。

「従軍慰安婦」をめぐる 

上田清司埼玉県知事語録

 ◆「(埼玉県)平和資料館の年表を見ても、『従軍慰安婦問題など日本の戦争責任の論議が多発』と書いてありますが、東西古今慰安婦はいても従軍慰安婦はいません。兵のいるところに集まってきたり、兵を追っかけて民間の業者が連れていったりするんであって、軍そのものが連れてくるわけは絶対ないんです。そんなことすれば負けるんです。したがって、こういった間違った記述は修正しなければならん、こんなふうに思います」(6月27日、県議会本会議)

 ◆「日本政府が証拠もないままに、日本軍は強制的に徴用した、いわゆる従軍慰安婦を同行させながら戦っていたと認めた今の状態が続くとなると、祖国や家族を守るために命をかけて戦った英霊はうかばれない、英霊の家族にしても耐えられないと私は思います。慰安婦はいた。慰安所もあった。しかし、軍が徴用した従軍慰安婦がいたという証拠はないのです」(7月3日発表「いわゆる従軍慰安婦問題に関する私の考えについて」)


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