2006年10月7日(土)「しんぶん赤旗」

サラ金17社 命担保の生命保険

自殺で43億円回収

今年3月期死因判明分 1年で延べ5000件

大門議員要求に金融庁調査


 「命を担保にしている」と問題になっているサラ金の「消費者信用団体生命保険」(団信保険)で、同保険に加入しているサラ金十七社がことし三月期の一年間に、借り手の自殺により、少なくとも四十三億円(延べ件数で四千九百八件)の死亡保険金を受け取っていることが、日本共産党の大門実紀史参院議員の調査でわかりました。


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(写真)大門実紀史参院議員

 今回判明したのは、ことし三月期の十七社の団信保険受け取り実績と、大手五社の三年分の同実績。大門議員が要求し、金融庁がサラ金と保険各社から聞き取りをして結果をまとめました。団信保険のほぼ全容が初めて明らかになりました。

 十七社の実績によると、死亡保険金の受け取り件数(いずれも延べ件数)は計約五万二千件、三百二億円でした。うち死因が判明したのは約二万四千八百件(47・7%)、百六十八億円(55・6%)と約半数にとどまっています。

 死因が判明したうち、借り手の自殺によるものは四千九百八件(19・8%)、四十三億円(25・6%)ありました。死因が不明だった約二万七千二百七件、百三十四億円に、判明分の自殺が原因の割合を掛けて算出すると、サラ金十七社が今年三月期の一年間に借り手の自殺により受け取った保険金は推計七十七・三億円、件数は同一万二百九十五件になります。

 一件あたりの保険金支払い金額は、病気・事故が六十二・三万円、死因不明が四十九・二万円なのに対し、自殺が八十七・一万円と飛びぬけて高額になっています。

 十七社の貸し付け人数(口座数)は約千四百万人で、団信保険の被保険者数は約千三百四十万人でした。

 サラ金大手五社(アコム、アイフル、武富士、プロミス、三洋信販)の三年間の実績では、自殺による保険金受け取りは三年間で計一万四千六百六十件、百十一億円にのぼっています。推移をみると、二〇〇四年三月期の四十三億円から、ことし三月期の三十億円へと減少しています。これは自己破産件数の減少(〇三年二十四万件超から〇五年約十八万五千件)と連動しており、多重債務の増大と自殺者数の関連性を示しているといえます。

 〇四年度人口動態統計の死亡原因のうち自殺が占める割合は、二十―六十九歳で9・04%であるのに対し、サラ金の借り手の自殺率は19・4%(大手三年間)、19・8%(十七社)となっており、サラ金の借り手の自殺率が異常に高くなっています。

 死因不明が多い理由として、金融庁は、サラ金と保険会社が、死亡診断書などを添付せずに保険金請求できる約款を結んでいる事例が多いとしています。

 団信保険は、民事上無効で払う必要のない「灰色金利」(利息制限法の上限を超える金利)を保険金で回収していることや、自殺に追い込むような取り立ての原因になることが批判されています。会社別の受取件数、金額など未解明の部分が多く残るなか、大手各社が相次いで団信保険の取り止めを打ち出しています。


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