2006年10月8日(日)「しんぶん赤旗」
世界、日本、そして憲法…私たちはどんな時代に生きているか
不破社研所長が記念講演
学習協・全国交流集会
日本共産党の不破哲三・社会科学研究所所長は七日、労働者教育協会と全国の学習協の主催する「全国学習交流集会in神奈川」の一日目の全体会に招かれ、記念講演をしました。会場の神奈川県三浦市の潮風アリーナには、主催側の予想を超える参加者が集い、追加のいすも用意されるなど、二階席も含めて約八百人が講演を聞きました。
「世界、日本、そして憲法」と題して講演した不破さんは、「私たちはどんな時代に生きているか」と切り出しました。そして、「世界と日本がいまほど密接な関係をもっている時代はない」として、日本のマスメディアが世界の動きを断片的な情報しか伝えないなか、世界を(1)資本主義が大いに発達した国々、(2)社会主義をめざす国々、(3)アジア・アフリカ・ラテンアメリカ、(4)旧ソ連・東欧圏――の四つのグループに分け、最新のデータを使ってそれぞれの流れの生きた動きを描き出しました。
そのなかで、第二グループの中国がGDP(国内総生産)の実力比較の最新の調査(IMF=国際通貨基金)で日本の二倍を超え、アメリカに迫るところまできていることを指摘すると、会場から「ほーっ」という声があがりました。
また、南アメリカでアメリカの支配に反対する革新政権が人口で三分の二以上となり、世界の平和と独立の拠点地域となっているとの指摘に、「若々しい国づくりの息吹が高まっているのがわかった」(二十四歳学生)との感想が聞かれました。
日本はどうか。不破さんは「日本は国づくりの、息吹、活力が一番弱い国になっている」として、その大本に異常な三つのゆがみ――(1)日本がおこなった戦争の名誉回復をめざす政治家が政権の中枢を握っている異常さ、(2)アメリカいいなりの政治、経済の異常さ、(3)国民の暮らしや権利を守るルールが欠けている異常さ――があることを指摘しました。
そして「この異常さは、これを打ち破るエネルギーを必ず生み出す。これこそ新しい国づくりの力となる。日本政治のゆがみをただす未来展望と結びつけ、国民的活力をとりもどす大運動を発展させよう」と呼びかけました。
「憲法問題がいよいよ切実になる」とのべた不破さんは、九条改悪がアメリカの注文であること、九条を変えたら「海外派兵」が武力参戦の派兵となることをはじめ「日本の軍事活動の全体が野放しになる」ことなどを解明。逆に九条を守りとおしたら平和的な外交戦略をもつ国として明るい展望が開けるとし、「九条守れの声を国民の多数派に」と呼びかけました。
熱心にメモをとっていた大阪府の会社員・鴨井真紀子さん(22)=仮名=は、「世間では憲法についてわかりにくい議論がされているけれど、アメリカといっしょに戦争することになるといっていいんやなと思った。まわりの人に伝えられる」と語っていました。
「不破さんの話を聞くのは初めて」という茨城県水戸市からきた男性(21)=アルバイト=は、「不破さんは日本の相対的貧困率は世界でも異常だという話もしていましたが、自分も手取り十二万円で、肌で感じています。いまの世界のなかでの、日本にとっての九条の意義や、お互いおおいに学び行動しようという呼びかけを聞いて不破さんは、熱い人だなと思いました。身近な人に話していくのにもとても参考になりました」。
集会の日程は三日間。働く若者など全国から集まった参加者が学習や交流をすすめます。