2006年10月9日(月)「しんぶん赤旗」
労災認定されづらい
“悪化しないと対象外と言われた”
アスベスト110番
働くもののいのちと健康を守る全国センターは七日、全国いっせいで「アスベスト健康被害110番」をよびかけ、十九都道府県二十五市で行われました。相談総数は百三十件(午後六時現在の集約)でした。
寄せられた相談は、労災申請(時効も含む)二十二件、健康不安や健康管理二十二件、医療機関の紹介八件など。石綿新法にかかわる相談は二件でしたが、政府の周知徹底不足、給付額の低さ、申請してもなかなか認定されない実態などが影響していると思われます。
職場でのアスベストにさらされた曝露(ばくろ)歴を持っているのが五十二件(曝露歴の有無の回答があったものの75%)でした。発症疾病は、中皮腫二十件、肺がん七件、瀰漫(びまん)性胸膜肥厚一件、胸膜肥厚八件。職業歴は、建設業二十一件、アスベスト製造業八件、鉄鋼業、造船業各四件、解体業三件、鉄道車両関係二件などでした。
特徴的な相談は、「病院からは診断書を持って行けば労災になるといわれたが、労基署では『もっと悪くならないと対象にならない』といわれた。職歴もはっきりせず心配」(福井)、「中皮腫と診断され亡くなったが、病院からは労災申請の話は何もなかった」(福岡)など、労災申請のむずかしさを示す事例が目立ちました。
火力発電所で一九四〇年―五〇年ごろ曝露し、ことし一月に中皮腫を発症、余命六―十カ月と宣告されたという八十三歳の人からの相談(尼崎)など、アスベストの健康被害が過去、現在、未来の問題であることを示しています。また、健康管理では、「健康管理手帳を持っていることで再就職に支障がある。就労支援制度がないか」(北海道)など、深刻な相談が寄せられました。
同センターは、今回の相談事例をさらに分析し、アスベストの健康被害者への十分な補償と抜本的な健康被害予防対策の強化を求め、取り組みを強めるとしています。