2006年10月11日(水)「しんぶん赤旗」
日韓、未来志向で合意
首脳会談で韓国大統領
歴史問題解決求める
安倍晋三首相は九日、韓国の盧武鉉大統領とソウルの青瓦台(大統領府)で初めて会談し、小泉前首相の靖国神社参拝など歴史問題で冷え込んだ日韓関係を未来志向で立て直すことで合意しました。ソウル到着の直前に発表された北朝鮮の核実験実施について、両首脳は「断じて容認できない」と非難。双方は、国連安保理での厳しい措置を含む決議案の採択に向け緊密に連携することを確認しました。日韓首脳会談は昨年十一月、韓国・釜山で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に行って以来です。
大統領は会談の冒頭、「日韓関係は二国間のみならず東アジアの平和と共同繁栄の秩序にとって非常に重要だ」と強調。「未来志向で考えたい。安倍首相の訪韓が日韓関係の新たな機会になるのではないか」と表明しました。
また、「歴史問題が大きな課題になっている」として、靖国神社参拝問題、歴史教科書問題、「従軍慰安婦」問題の三点の解決を求めました。
これに対し首相は「わが国がアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えたことへの深い反省の上に戦後六十年の歩みがある」と説明。「過去をめぐる韓国国民の心情を重く受け止めている。その気持ちに立ち、未来志向の友好協力関係を構築したい」と表明しました。
韓国側発表によると、安倍首相は、侵略と植民地支配に反省とおわびを述べた一九九五年の村山首相談話を継承すると語りました。
靖国問題では「行ったたか行かないかは言及しないことにしている」とした上で、「両国関係の健全な発展を促進する観点から適切に対処したい」と述べました。
「慰安婦」問題で、日本軍などの関与と「強制性」を認めた一九九三年の河野官房長官談話について大統領が「守られていない」と指摘したのに対し、首相は、自身の内閣でも継承すると述べました。
両首脳は、第二期の日韓歴史共同研究委員会を年内に発足させることで合意。首相が大統領の来日を招請したのに対し、大統領は「適当な時期に訪日したい」と答えました。
北朝鮮の核実験実施発表について、両首脳は、重大な脅威であるとの認識で一致。首相は「国連安保理は北朝鮮に核を放棄させるべく、断固とした対応をただちにとるべきだ」と述べました。大統領は「北朝鮮の核実験は、南北非核化共同宣言に反する。北朝鮮に核を放棄させる必要がある」と表明。関係国で調整し戦略的な対応をとることで一致しました。