2006年10月12日(木)「しんぶん赤旗」
米軍再編経費はどうなった?
〈問い〉 8月末に防衛庁は2007年度予算案の概算要求をしましたが、在日米軍再編についての経費はどうなったのですか?(兵庫・一読者)
〈答え〉 防衛庁はこんどの概算要求で、在日米軍再編についての経費を初めて計上しました。盛り込んだのは9項目です。
しかし、このうち要求額を明らかにしているのは、3項目約159億円分にすぎません。キャンプ座間(神奈川県)への陸上自衛隊中央即応集団司令部の移設(調査費1千万円)、横田基地(東京都)への航空自衛隊航空総隊司令部などの移設(施設整備費151億円)、空自車力基地への「ミサイル防衛」用米軍新型レーダーの配備(施設整備費8億円)だけです。
要求額を明らかにしていないのは、米軍や再編計画に反対する自治体との調整が終わっていないからです。防衛庁は、政府予算案が決まる年末までに、予算額を確定させる方針です。
要求額を明らかにしていない項目には、たとえば、キャンプ・シュワブ(沖縄県)への米軍新基地建設や、岩国基地(山口県)への米空母艦載機部隊移駐があります。防衛庁は、これらについて「調査費等」を要求しています。「等」とした理由について、詳細は未定としつつも、調査費以外の経費が盛り込まれる可能性もあるからだとしています。このため、在日米軍再編の予算額が、さらに膨らんでいくのは必至です。
在日米軍再編の全計画については、すでにローレス米国防副次官が、日本側負担を約3兆円だと明言しています(4月)。計画の早期実現を狙う日本政府は、07年度予算案に、なるべく多くの経費を盛り込もうとするとみられます。
また在日米軍再編には、在沖縄海兵隊をグアムに移転する計画(日本側負担約7千億円)も含まれています。しかし、今回の概算要求には、グアム移転費は、盛り込まれていません。
米太平洋軍幹部は、海兵隊から正確な計画が示されていないことなどを理由に「(グアム移転の)最初の大きな動きは最低6年間、期待できない」と述べています。概算要求に計上されなかった背景には、こうした計画の遅れがあるとみられます。
在日米軍再編の狙いは、米軍と自衛隊が一体となって地球規模で出撃できるようにし、そのために米軍と自衛隊の基地強化をはかること。米国の先制攻撃戦略を支える態勢づくりです。そこへ税金をばく大につぎ込むことは、国民の暮らしを圧迫するとともに、アジアと日本の平和を脅かすものです。(田)〔2006・10・12(木)〕