2006年10月17日(火)「しんぶん赤旗」

国連安全保障理事会の

北朝鮮制裁決議(全文)


 国連安全保障理事会が十四日、全会一致で採択した対北朝鮮制裁決議一七一八の全文は次の通りです。


 安全保障理事会は、

 決議八二五(一九九三年)、一五四〇(二〇〇四年)、とりわけ決議一六九五(〇六年)を含む諸決議、ならびに〇六年十月六日の議長声明(S/PRST/2006/41)を想起し、

 核・化学・生物兵器、ならびにその運搬手段の拡散は、国際の平和と安全への脅威となることを再確認し、

 〇六年十月九日に核兵器の実験を行ったという朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の声明、および、地球規模の核不拡散体制を強化することを目的とした国際的な努力に対して、そうした実験がもたらす挑戦、さらに実験がこの地域とその周辺の平和と安定へもたらす危険に対し、最も深刻な懸念を表明し、

 国際的な核不拡散体制を維持する必要があるという確固とした確信を表明するとともに、北朝鮮は核不拡散条約(NPT)にそった核兵器国の地位をもつことはできないことを想起し、

 北朝鮮によるNPTからの脱退と核兵器の追求の発表に遺憾の意を表明し、

 さらに、北朝鮮が六カ国協議への無条件復帰を拒否していることに遺憾の意を表明し、

 中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国が〇五年九月十九日に発表した共同声明を支持し、

 北朝鮮が国際社会のその他の安全保障上および人道上の懸念にこたえる重要性を強調し、

 北朝鮮が声明した実験が、この地域およびそれを越えてさらに緊張を高めたことに深い懸念を表明し、従って、国際の平和と安全への明白な脅威が存在すると決定し、

 国連憲章第七章に基づいて行動し、第四一条に基づいて措置をとり、

 1、決議一六九五(〇六年)および〇六年十月六日の安保理議長声明(S/PRST/2006/41)をはじめとする関連諸決議―核実験が国際社会全体からの非難を呼び、国際の平和と安全への明確な脅威となるとの言明を含む―を甚だしく無視して、〇六年十月九日に北朝鮮によって発表された核実験を非難する。

 2、北朝鮮がこれ以上のいかなる核実験あるいは弾道ミサイルの発射も行わないよう要求する。

 3、北朝鮮がNPTからの脱退通知を直ちに撤回するよう要求する。

 4、さらに、北朝鮮がNPTおよび国際原子力機関(IAEA)の保障措置に復帰するよう要求し、NPTの全締約国が同条約の義務を順守し続ける必要を強調する。

 5、北朝鮮がその弾道ミサイル計画に関連するあらゆる活動を停止し、その関連で、ミサイル発射に関して同国が以前に行っていたモラトリアム(凍結)の約束を再確立するよう決定する。

 6、北朝鮮が、すべての核兵器と核開発計画を、完全かつ検証可能で後戻りできないやり方で放棄すること、NPT締約国に適用される義務および同国のIAEA保障措置協定(IAEA INFCIRC/403)の条項と条件に厳格に従って行動すること、ならびに、これらの要請を超えて、IAEAが要求し、および必要と見なす個人、記録、装置、施設へのアクセスを含めた透明性措置をIAEAに提供することを決定する。

 7、また、北朝鮮がその他のすべての大量破壊兵器および弾道ミサイルを完全かつ検証可能で後戻りできない形で放棄することを決定する。

 8、以下を決定する。

 (a)すべての加盟国が、自国領域を通っての、または自国民による、もしくは、自国領域を出発地とするかどうかにかかわらず、自国籍の船または航空機の使用による、以下のいかなる物品の北朝鮮への直接または間接の供給、販売、または移転を防止する。

 (i)国連軍備登録制度の目的に定義されている、あらゆる戦車、戦闘車両、大砲システム、戦闘機、攻撃ヘリコプター、軍艦、ミサイルあるいはミサイル・システム、または安保理か下記第12項により設立される委員会(以下「委員会」)で決定されるスペア部品あるいは品目を含む関連資材。

 (ii)本決議採択後十四日以内に「委員会」が修正し、もしくは文書S/2006/816のリストを考慮に入れて仕上げない限り、文書S/2006/814とS/2006/815のリストに記載されたすべての品目、資材、装置、物品および技術、ならびに、北朝鮮の核関連、弾道ミサイル関連および他の大量破壊兵器関連の諸プログラムに役立つ可能性のあるもので、安保理または「委員会」によって決められたすべての品目、資材、装置、物品および技術。

 (iii)ぜいたく品。

 (b)北朝鮮は、上記第8項(a)(i)および第8項(a)(ii)に含まれるすべての品目の輸出を中止し、すべての加盟国は、北朝鮮原産かどうかにかかわらず、北朝鮮からの、または、自国民による、また自国籍船舶や航空機を利用しての、そうした品目の調達を禁止する。

 (c)すべての加盟国は、自国民による、または自国領域からの、もしくは、北朝鮮からの同国民による同領域からの、上記(a)(i)および(a)(ii)の品目の供給、製造、保守、または使用に関連する技術上の訓練、助言、サービスまたは支援の北朝鮮へのいかなる移転も防止する。

 (d)すべての加盟国は、「委員会」または安保理によって、北朝鮮の核その他の大量破壊兵器および弾道ミサイル計画に関与し、または支援(他の不法手段によるものを含む)を与えているものとして指定された人物または団体によって、もしくは、それらに代わる、または、それらの指令下にある人物または団体によって、直接間接に所有され、または管理される資金、その他の金融資産および経済資源で、本決議の採択日またはその日以降に自国領域にあるものを、各国の法手続きに従って、直ちに凍結するとともに、いかなる資金、金融資産および経済資源も、自国民によって、または自国領域内のいかなる人物または団体によっても、当該の人物または団体の利益のために使用に供されないようにする。

 (e)すべての加盟国は、「委員会」または安保理によって、北朝鮮の核、弾道ミサイル、その他の大量破壊兵器関連の諸プログラムに関連する北朝鮮の政策に責任がある(支援や促進によるものを含む)と指定された人物とその家族の入国または自国領域の通過を防止するのに必要な措置をとる。ただし、本項のいかなる規定も、自国民の自国領域への入国拒否を国家に義務付けるものではない。

 (f)すべての加盟国は、本項の要請の順守を確保し、それによって核、化学、生物兵器、その運搬手段および関連物資の不法取引を防止するために、必要に応じて、自国の権限と法律に従い、また国際法にそって、北朝鮮への、および北朝鮮からの積荷についての検査を含む協調行動をとるよう要請される。

 9、上記第8項(d)の規定は、関連諸国が決定した以下のような金融その他の資産または資源には適用されないことを決定する。

 (a)食料、賃貸料や抵当、医薬品と医療行為、税、保険料、公共料金の支払いを含む基本的支出に必要となるもの、もしくは妥当な職業上の対価の支払いや、法的サービスの提供に伴って生じた支出の弁済にのみ充てられるもの、もしくは、適切であれば凍結された資金やその他の金融資産、経済資源へのアクセスを許す意図について当該国による安保理への通知後、このような通知から五作業日以内に安保理の否定的決定がない場合、このような資金およびその他の金融資産、経済資源を日常的に保有、維持するための、国内法に基づく料金・サービス料。

 (b)非常の支出のため必要なもの。ただし、このような決定が、当該諸国から「委員会」に通知され、「委員会」によって承認された場合に限る。

 (c)司法、行政、仲裁上の先取特権や判決の対象となるもの。ただし、先取特権や判決が本決議の日付以前に発効したものであり、上記第8項(d)で言及された人物や安全保障理事会または「委員会」によって特定された個人や団体の利益にならないものであり、当該諸国から「委員会」に通知済みであるときに、その先取特権や判決を果たすために資金その他の金融資産、経済資源が利用されるかもしれない場合に限る。 

 10、上記第8項(e)によって課される諸措置は、「委員会」がケース・バイ・ケースでそうした旅行は宗教的義務を含め人道上の必要に基づく正当なものだと決定し、または、「委員会」が、免除は本決議の目的を促進すると結論した場合には、適用されないことを決定する。

 11、すべての加盟国に対し、上記第8項の規定を効果的に実施するためにとられた諸措置について、本決議採択から三十日以内に、安保理に報告するよう要請する。

 12、以下の課題を行うために、暫定手続き規則中の規則28に従って、安保理のすべての理事国から構成される安保理の「委員会」を設置することを決定する。

 (a)すべての国、とりわけ、上記第8項(a)で言及した品目、資材、装置、物品および技術を生産または保有している諸国から、本決議の上記第8項によって課される諸措置を効果的に実施するためにこれら諸国によってなされた行動に関する情報、ならびに、この点で有用と考えうるすべての情報を求めること。

 (b)本決議第8項によって課される諸措置の違反疑惑についての情報に関し調査し適切な行動をとること。

 (c)上記第9項および第10項に規定されている免除の要請を検討し決定すること。

 (d)上記第8項(a)(i)と8項(a)(ii)の目的のために特定される他の品目、資材、装置、物品および技術を決定すること。

 (e)上記第8項(d)および第8項(e)によって課される諸措置の対象となる追加の個人および団体を指定すること。

 (f)本決議によって課される諸措置の履行を促進するために必要と思われるガイドラインを公布すること。

 (g)この「委員会」の活動について、とりわけ、上記第8項の諸措置の実効性を強化するやり方について、所見と勧告を付して、少なくとも九十日ごとに安保理に報告すること。

 13、さらに、朝鮮半島の検証可能な非核化を達成し朝鮮半島および北東アジアの平和と安定を維持するために、〇五年九月十九日に中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国により発表された共同声明の速やかな履行をめざして、外交努力を強め、緊張を激化させる可能性があるいかなる行動も慎み、および六カ国協議の早期再開を促進するすべての関係諸国による取り組みを歓迎し、さらに奨励する。

 14、北朝鮮に対し、無条件で六カ国協議に直ちに復帰し、〇五年九月十九日に中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国により発表された共同声明の速やかな履行に向け努力するよう要請する。

 15、安保理が北朝鮮の行動を継続的に調査すること、および、北朝鮮による本決議の諸規定の順守に照らして、必要と考えられる時に、諸措置を強化、改善、停止または解除することを含め、安保理が上記第8項に含まれる諸措置の妥当性を再検討する用意があることを確認する。

 16、追加措置が必要な場合はさらなる決定が必要となることを強調する。

 17、事態を積極的に掌握し続けることを決定する。


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