2006年10月18日(水)「しんぶん赤旗」
安川電機が偽装請負隠し
労働者告発 請負会社に社員出向
産業用ロボット製造メーカー大手の安川電機(本社・北九州市)で、社会問題になっている偽装請負を隠すための新たな偽装をおこなっていることが十七日、同社社員の内部告発で判明しました。
告発したのは、同社八幡工場ロボット製造部門の社員、波田良一さん(58)。厚労省福岡労働局への告発には、日本共産党の八記博春県議が同席しました。
ロボット製造部門にある三つの班のうち、波田さんの所属するM班(リニアモーター製造)では、安川電機社員と、請負会社(YEM)社員が混在して製品を製造しているといいます。
班長を務める安川電機職長(職制)が、請負会社係長を兼務し、安川と請負両社員に統一した指示を出しています。
告発によると▽作業指示や安全注意などをおこなう朝礼も同一▽請負社員への技術指導・教育も安川―と数々の違反がおこなわれています。
十二日には安川電機が、「違法の解消」を口実にして、請負社員を直接雇用するのではなく、同部門の安川社員全員を請負会社に在籍出向させ、偽装請負を隠す新たな「偽装」を提案。すでに同部門以外の大部分の製造部門で、安川社員を請負会社に出向させ、その指揮命令系統で製造がおこなわれています。
八記県議は「違法と知りながら偽装請負を続け、さらに偽装請負を隠ぺいする手口が悪質だ。出向の内示が切迫している。勇気ある告発を生かして、ただちに指導すべきだ」と求めました。
同労働局の担当者は「実態は重々わかった。緊急性があると理解している。実態を十分に調べたい」と答えました。
波田良一さんの話 私も退職まで一年。四十三年間働いてきた技術を継承するためにも、偽装請負をやめ直接雇用するのが理にかなっています。会社が甘い汁を吸って、労働者を使い捨てにして、人間をもてあそぶのは許せない。