2006年10月19日(木)「しんぶん赤旗」
偽装請負
キヤノンを告発
労働者17人 正社員化求める
大手光学機器メーカー、キヤノンの工場で働く業務請負会社の労働者が、実態は派遣労働者なのに違法な「偽装請負」で働かされていたといって十八日、正社員として雇用するようキヤノン本社(東京都大田区)に申し入れました。
申し入れたのは、栃木県宇都宮市にある「宇都宮光学機器事業所」でレンズ製造などに携わる労働者十七人。加盟する東京ユニオンによると、十七人は県内在住の二十代後半から三十代前半の男性。なかには十年も働いている労働者もいます。
請負会社に雇用されていたのに仕事の指示はすべてキヤノンが出しており、実態は派遣労働者でした。一時的に昨年から今年五月までは派遣契約に切り替えられましたがその後、再び請負契約に戻され、現在も偽装請負状態が続いています。
労働者派遣法では派遣期間が一年を超えると、受け入れ側に直接雇用の義務が生じます。偽装請負は、法的規制を免れるための脱法行為だとして、各地で摘発されています。
労働者たちは「正社員に負けない誇りをもって働いている。請負や派遣など将来設計も立たない不安定な雇用では重要な仕事を続けることができない。正社員になって、これからも頑張りたい」と訴えています。十七日には、栃木労働局にキヤノン側に是正指導するよう申し立てました。
同社の御手洗冨士夫会長は日本経団連会長を務めています。グループでは偽装請負が相次いで発覚。子会社の大分キヤノンなどが労働局から昨年指導を受けています。
偽装請負 請負はメーカーが請負会社に丸ごと業務を任せる契約で、メーカーに労働者の使用者責任を負わず、直接雇用の義務も生じません。しかし、メーカーが請負会社の労働者を指導・監督すれば違法な「偽装請負」となります。