2006年10月23日(月)「しんぶん赤旗」
周辺事態法適用
世界の流れに反する
フジ系番組で小池議員批判 軍事対応につながる
日本共産党の小池晃政策委員長は二十二日、フジテレビ系番組「報道2001」に出演し、北朝鮮の核実験に対する国連安保理決議を受けての日本の対応について、各党の代表と討論しました。
このなかで小池氏は、「周辺事態」と認定して対応しようとする動きについて「国連(安保理)で全会一致で決めた枠組みは、平和的措置でこの問題を解決することだ。実際、外交的努力も進んでいる。軍事対応のための法律である周辺事態法の適用はとんでもない間違いだ」と批判しました。
現行法で対応を
自民党の石破茂元防衛庁長官は「周辺事態」認定を主張。北朝鮮からの大量破壊兵器関連物資の出入りを「どうやってきちんと止めるか。抑えられるのは、能力的には海上自衛隊だ」と主張しました。民主党の前原誠司衆院議員は「共産党は観念論だ」と述べ、「周辺事態」認定とともに「(船舶検査に強制力を持たせる)一般法や特別措置法の議論をしなければならない」と述べました。
小池氏は「前原さんの話こそ机上の空論、観念論だ。世界の流れをみるべきだ」と批判し、ライス米国務長官が“国連決議が海上封鎖、だ捕を求めているというのは誤解だ”と発言していることや、久間章生防衛庁長官も“武力を使うことはあまりやらないイメージが出ている”と述べていることを紹介。また、安保理決議のいう「貨物検査」について、その中心は港湾での実施が想定されていることを指摘し、「海自でなければできないという議論は成り立たない。日本は独自の制裁を決め、海上保安庁も警察行動として実際に行っている。現行法の枠内で十分できることはある」と批判しました。
その後、前原氏も、今の国際的な対応の流れが、公海上での船舶検査活動でなく「まずは北朝鮮から出た船が来たところで、各国が(港で)それぞれしっかりやることが大前提だ」と述べました。石破氏も「周辺事態法は、朝鮮半島有事を想定し、それに対して何ができるのかがスタンダードな枠組みだ」と述べ、「周辺事態」認定に基づく措置が軍事行動であることを認めました。
麻生発言は有害
討論は、日本の核武装についての議論に移り、小池氏は「議論の余地はない。(日本は)核を持たないと決めているのだから、議論することになれば、持つ方向で検討することになる」と批判しました。
小池氏は、北朝鮮の核保有を許さない上での「日本の強み」として、唯一の被爆国という体験と、実際に核兵器を保有していないことを指摘。「だからこそ核兵器をなくせと説得力を持つ議論ができる」と述べ、核武装の議論を容認した麻生太郎外相や自民党の中川昭一政調会長の発言について「極めて有害だ」と批判しました。
また、「非核三原則」に関連し、米国が日本に核兵器を持ち込んでいる疑惑が討論になり、小池氏はこれまでに明らかになっている事実から核持ち込みはあったとみるべきだと指摘し、「非核三原則を骨抜きにしていく動きが進んでいくことを大変危ぐしている」と述べました。そのうえで、「核実験を防げなかったことからみても、核の抑止力は無力だ。世界の三分の二の国が参加している非同盟諸国会議でも、期限を区切った核廃絶が決議されている。世界から核兵器をなくすということを、本気で現実的課題として実現する方向にこそ進むべきだ」と主張しました。