2006年10月27日(金)「しんぶん赤旗」
命令放送は権力介入
吉井議員 放送法の根幹問題
衆院総務委員会で二十六日、日本共産党の吉井英勝議員は菅義偉総務相が北朝鮮の拉致問題をNHKの短波ラジオ国際放送で重点的に取り上げるよう「命令」する意向を表明した問題を取り上げました。
命令書は電波監理審議会の答申を経て、毎年四月に交付されています。放送事項は、「時事」「国の重要政策」「国際問題に関する政府の見解」となっていて、編集はNHKに委ねられてきました。
吉井議員は、命令書が出された一九五一年以来、五十六年間、具体的な内容を定めたことはなかったこと、湾岸戦争や同時多発テロ発生時に臨時に出した命令書においても、「放送内容に立ち入ったことはなかった」と指摘。答弁に立った鈴木康雄情報通信政策局長は、「個別事項を定めたことはない」と認めました。
吉井議員は、放送が命令通り行われたかどうか判断する基準が、総務相の裁量に任せられる危険性をあげ、「放送への権力の介入、検閲につながる。国策放送になれば、NHKへの信頼をおとしめ、拉致問題にとってもマイナスになる」とのべました。
菅総務相は、「放送法三三条では大臣が放送事項を指定できる。表現の自由には抵触しない」と答弁しました。
吉井議員は「番組編集の自由は、放送法の根幹中の根幹の問題。歴代の担当相も放送内容には踏み込まなかった」と、命令を出さないよう強く求めました。