2006年11月1日(水)「しんぶん赤旗」
夕張市の財政破綻の原因をどう考える?
〈問い〉 夕張市議会が9月末「財政再建団体」の申請を決議しました。財政破綻(はたん)の原因と責任は何ですか?(宮城・一読者)
〈答え〉 夕張市の財政破綻は6月20日市長の財政再建団体の申請表明によって表面化し、9月末の市議会で申請を決議し、再建計画案の策定が本格化しています。
政府、マスメディアは、破綻の原因としてその場しのぎの会計操作、隠れ借金の温床=一時借入金でのやりくり、さらに経済産業省らがつくった産炭地基金からの借入=「ヤミ起債」をあげ、自治体の乱脈経営をついています。
しかし、「炭都」といわれた夕張の場合、22あった炭鉱が次々と閉山に追い込まれ、閉山処理として、住宅、病院、水道、道路などの社会基盤投資に588億円(うち起債332億円)を要し、市財政を圧迫しました。
その歴史的構造的原因をぬきにして、結果としての操作を原因にあげる指摘は一面的です。
さらに市が行財政改革で17億円の節減をはかったのに、自公政治による「三位一体改革」地方交付税等削減は23億円にものぼり、これが産炭法の失効(共産党は反対)とともに市財政にとどめを刺しました。
たしかに夕張市の観光開発にゆきすぎがあったのも事実です。共産党市議は一貫して過大さの問題を指摘するとともに、3年前の市長選挙で党公認候補をたてて身の丈にあわぬ観光拡大の転換を提言しました。自公民のオール与党体制の下でも市民の立場でチェック機能を果たしてきたのです。
これから再建団体になると、公共料金の値上げ、職員と人件費の削減、公共事業や投資的経費の抑制、第3セクターへの支援後退など、サービス低下の危険があります。
夕張市の場合、赤字規模は260億円と標準規模の6倍になるだけに、長期にわたる「再建」が強いられます。
すでに、夕張市の第3セクター「石炭の歴史村観光」が運営する10施設は10月15日休業しましたが、来季再開のメドはたっていません。これで320人の失業が出ました。市立病院の縮小・民営化により、地域医療の後退が懸念されます。財政再建計画とともに、道の支援により市民生活の再生計画と雇用計画が求められます。(忠)
〔2006・11・1(水)〕