2006年11月2日(木)「しんぶん赤旗」
松下電器に是正指導
出向型の偽装請負
厚労省
松下電器が偽装請負を逃れるために、社員を請負会社に出向させて指揮・命令していた問題で、厚生労働省は、職業安定法四十四条(労働者供給事業の禁止)に違反するとして、松下に是正指導していたことが一日、明らかになりました。松下電器は、「十月二十七日に是正指導があった。内容を検討して対応していきたい」(広報部)と認めています。
プラズマテレビを生産している松下と東レの合弁会社、松下プラズマディスプレイ茨木工場(大阪府茨木市)は昨年五月、クリスタル系の請負会社のコラボレート(コラボ)労働者から偽装請負として告発されました。松下の社員が直接、請負労働者を指揮・命令していたからです。同年七月、松下は大阪労働局の指導で、請負から派遣に切り替えました。
ところが、十カ月後の今年五月、松下は派遣から請負に戻した上で、偽装請負であるとの批判をかわそうと、社員約二百人をコラボに「出向」させ、指揮・命令させました。派遣労働者は、同一職場で一年以上働くと、企業に直接雇用の義務が生じるため、これを避けるための脱法的な手法でした。
厚労省は、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」で、在籍型出向には関係会社への出向や技術指導など四種類のパターンがあるが、「労働者供給事業に該当するようなケースが生ずることもあるので、注意が必要」としています。厚労省は、これに当てはまるとして指導したとみられます。