2006年11月2日(木)「しんぶん赤旗」
セクハラをどう考える?
〈問い〉 セクハラについて日本共産党の政策や主張を知りたいのです。日本での主な判例、欧米と比較しての違い、セクハラが発生する社会的背景、国会でのとりくみも教えてください。(東京・一読者)
〈答え〉 セクハラ(セクシュアル・ハラスメント)は、相手の意に反する性的な言動等をいいます。性差別であるとともに、上下関係や権力を利用した人権侵害です。被害者の多くが女性ですが、男性の場合もあります。
日本共産党は、セクハラを「起こさない」「起こさせない」ことが大事であり、「許さない」世論をひろげていくことが必要と考えています。また法律の整備、改善命令を出せる機関の設置、被害者の保護、相談窓口の拡充などを提案してきました。国会でも、大学や学校、職場、航空機内や公務、法曹関係など、いろいろな分野におけるセクハラ問題をとりあげて、対策の強化を求めてきました。
今年の国会では男女雇用機会均等法が改正され、セクハラについての事業主の責任も強化されました。審議に先立って日本共産党の修正提案を発表し、セクハラ禁止の明記、被害者の保護と救済機関の設置などを盛り込むことを求めて奮闘しました。
セクハラ訴訟は1980年代後半以降、100件以上おこなわれています。さきがけとなったのは福岡セクハラ事件(92年福岡地裁)です。上司によって異性関係などのうわさを流されたために退職においこまれた女性が会社と上司を訴えたものです。判決は、上司の不法行為を認め、会社側にも、仕事に関連して人格の侵害などを防いで働きやすい環境を整備することを怠ったとして責任を認めました。このほか、大学におけるセクハラがはじめて問われた京都大学事件、元大阪府知事の横山ノック事件なども注目を集めました。
欧米では、早くからこの問題にとりくみ、セクハラを性差別として明確に禁止してきました。被害者の救済機関も整備されています。これに対し日本では、99年施行の改正均等法で、セクハラへの対応が事業主の努力義務とされたのがはじめてです。都道府県の雇用均等室などに年間8千件もの相談が寄せられるようになってきましたが、泣き寝入りのケースも多く、企業の対応も遅れています。
社会的には、どんな範囲の言動がそれに含まれるか、被害者のプライバシーを守り、二次被害を起こさないようにどんな注意が必要かなど、社会的モラルの基準がようやく確立しはじめたところです。
背景には、欧米に比べても遅れた男女平等をめぐる状況、女性に対する蔑視(べっし)や固定的な役割分担意識などがあります。風俗産業やポルノ、テレビや雑誌等のマスコミなども助長している女性を性的な存在としか見ない風潮も問題です。
社会のあらゆるところで、男女が対等な存在として認められ、人権が尊重される社会をつくることが大切だと考えます。(玲)
〔2006・11・2(木)〕