2006年11月18日(土)「しんぶん赤旗」

宗教は「アヘン」なの?


 〈問い〉 マルクスは「宗教はアヘン」と言ったそうですが、日本共産党は宗教にたいしてどのような態度をとっているのですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 マルクスが20代の半ばに書いた「ヘーゲル法哲学批判序説」という論文に、「宗教上の不幸は、一つには現世の不幸の表現であり、一つには現実の不幸にたいする抗議である。宗教は、悩めるもののため息であり、…民衆の阿片(あへん)である」という表現があります。これは、圧政や貧困に苦しめられている民衆にとって、宗教が慰めの役割を果たしていることを、当時、鎮痛剤としても使われていたアヘンになぞらえたものです。マルクスが宗教をアヘンという言葉で形容したのはこのときだけです。

 マルクスやエンゲルスは、哲学のうえで宗教的な世界観とたたかうとともに、当時のヨーロッパで教会が専制君主の反動支配を助けていたことを鋭く批判し、政教分離を主張しました。しかし、宗教を一律に有害なものとみなしたり、「宗教の廃止」を運動の目標にしたりすることはきびしく戒めていました。また、世界観の違いを超えて、現実の矛盾や苦しみをなくしていくために共同する必要があることを強調しました。

 レーニンも、ロシア十月革命の翌年に公布した布告で、「いかなる宗教を信仰することも自由、またいかなる宗教を信仰しないことも自由」とすることを国家の基本原則としました。また、聖職者の入党問題についても、「党内での布教を目的とするのではなく、綱領に賛成し、共同の政治活動をする意思をもって」いれば入党を認めるという立場をとりました。

 日本共産党は、終戦直後の第4回党大会で決めた行動綱領で「信仰の完全な自由」を掲げ、1970年の第11回党大会では将来の社会主義社会も含めて信教の自由を保障することを確認しています。また、75年の第12回大会第7回中央委員会総会で、宗教問題についての決議を採択し、それをふまえて76年の『自由と民主主義の宣言』でも「布教、伝道の自由をふくむ信教の自由を無条件で保障する」ことを明らかにしています。この立場に立って今日でも幅広い宗教者との対話と協力を進めています。(哲)

 〔2006・11・18(土)〕


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