2006年11月20日(月)「しんぶん赤旗」

世界の流れと革新懇運動の未来

地域・職場革新懇全国交流会

志位委員長の講演(詳報)


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(写真)講演する志位和夫委員長=18日、岡山市

 日本共産党の志位和夫委員長は十八日、岡山市内で開かれた全国革新懇の地域・職場革新懇全国交流会で、「世界の流れと革新懇運動の未来」と題して講演しました。

 志位氏は講演の冒頭、教育基本法改悪法案をめぐる緊迫した国会情勢を報告し、自民、公明両党の暴走を厳しく批判。「徹底審議によって廃案に追い込むために力をつくそう」と呼びかけました。


革新懇運動に新しい前進の勢い

 志位氏は、地域・職場革新懇の結成がすすんでいることを歓迎し、「革新懇運動に新しい前進に向けた勢いが生まれています」と指摘。「革新懇運動の活力と魅力の源泉は、草の根からの国民の要求にもとづく共同と、国政を変える『三つの共同目標』――平和、暮らし、民主主義の三つの分野で自民党政治を根本から変える革新の目標をかかげ、国民多数の合意をつくることをむすびつけてとりくんでいることにあります」とのべ、この「三つの共同目標」が二十一世紀の世界の流れにてらしても、未来ある目標になっていることを三つの角度から論じました。

軍事同盟から平和の共同体へ

 第一は、「日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本を築く」という目標についてです。

 志位氏は、米国とともに海外での戦争に乗り出す国づくりに向かう安倍政権を批判するとともに、「世界の主要な国のなかで、こんな物騒な方向に熱中している国はほかにありません」とのべ、世界の流れの変化を三点にわたって指摘しました。

 (1)アメリカがどうなっているか――無法なイラク戦争の大破たん、中間選挙での与党・共和党の大敗北、ラムズフェルド前国防長官の更迭など、一連の米国の動きを紹介しながら志位氏は、米国でイラク政策の見直しが迫られる軍事的覇権主義の大きな破たんが起こっていると指摘。同時に、米国で外交努力で問題解決をはかる動きが出ていることを明らかにしつつ、一例として、北朝鮮問題では、米国・中国・北朝鮮による六カ国協議再開の合意にみられるように、米国自身も平和的・外交的方法で問題解決をはかる立場をとっていることは注目されるとのべました。その上で、「こうした米国の動きにてらしても、軍事的覇権主義にだけ追随し、外交的対応についていけない日本外交の現状はみじめであり、未来はありません」とのべました。

 (2)軍事同盟はどうなっているか――志位氏は、世界の軍事同盟が「二十世紀の遺物」になりつつあると指摘。アメリカ中心の軍事同盟が解体、機能不全、弱体化するもとで、アジアで残った二つの軍事同盟も、米韓同盟は、在韓米軍の大幅撤退と指揮権を韓国がもつ方向など、韓国の自主性を強化する方向での見直しが検討されているとして、軍事同盟強化に血道をあげているのは「日米同盟」だけだと批判しました。

 さらに、軍事同盟の廃虚のうえにたちあらわれているのが、東南アジアでのASEAN(東南アジア諸国連合)など、平和の地域共同体だと強調。どれも国連憲章にもとづく平和秩序、紛争の平和解決、外部に敵をもとめず開かれた共同体をめざしていることが重要だと力を込めました。

 (3)非同盟運動がどうなっているか――志位氏は、キューバでの非同盟諸国首脳会議(九月)では、加盟国が過去最大となり、国連加盟国の三分の二を占めるまで前進していると紹介。「反米」「親米」などいろいろな潮流の国があるものの、「この流れの国に共通しているのは、大国のいいなりにならない『自主独立』の国づくりです」とのべ、革新懇運動の目指す日本が合流しようとしている非同盟運動が活発な発展をとげていることを歓迎しました。

「新自由主義」は世界で大破たん

 第二は、「日本の経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざす」という目標についてです。

 志位氏は、深刻な「格差と貧困の広がり」の根源に「新自由主義」の経済政策があると指摘。しかし、この経済路線が世界で大破たんをきたし、新しい政治の流れがおこっているとして、とくに二つの地域に注目してのべました。

 一つめは、「ラテンアメリカの民主革命」です。志位氏は、今年に入っても、ブラジルで左翼政権の再選、ニカラグアでの左翼陣営の勝利など、自主的、民主的な国づくりをめざす民主革命の波が、ラテンアメリカ全体を覆っていると強調。この流れの発端が、国際通貨基金(IMF)による「新自由主義」路線のおしつけ、そして貧富の差の劇的な広がりにあったとして、「ベネズエラなど全体に共通する流れは、アメリカからの独立と、『新自由主義』に反対して国民生活第一の国づくりをめざすことにあります」とのべました。

 二つめは、「インドの変化」です。志位氏は、西ベンガル、トリプラ、ケララ各州で、インド共産党(マルクス主義)を中心とする左翼政権が人民に根をはって前進していることを示し、この強さの背景の一つに、「新自由主義」の動きから最も深刻な影響を受けている貧困層を保護する政策的対案を提示していることがあることを、自らのインド訪問の経験をふまえて紹介しました。

 その上で志位氏は、「『新自由主義』は、世界中で失敗しています。この道をすすめばどんなにひどいことになるかの手本が、『ワーキングプア』の本家、保険会社をもうけさせるために医療を民間まかせにした本家の米国自身にみられます」と指摘。「大企業のもうけ第一でなく、国民の暮らし第一の経済にこそ未来はあります」とのべました。

憲法九条はアジアと世界の共有財産

 第三は、「日本国憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざします」という目標についてです。

 志位氏は、「九条を守りぬくことは、まさに世界とアジアの人々が日本にのぞんでいること」であることを自らの韓国訪問で痛感したと強調。志位氏に寄せられた延世大学の学生からの感想を紹介し、「韓国の多くのみなさんとの交流をつうじて、歴史問題の逆流をただすことと、平和憲法をまもりぬくことを、一体の問題として日本に求めていることを強く感じました」とのべました。そして、「戦争の反省の上につくった憲法九条は、アジアに対する不戦の誓いであり、アジアと世界の共有財産です。九条を守りぬき、それを生かした平和外交をおこなうことこそ、世界平和への最大の貢献です」と呼びかけました。

「三つの共同目標」こそ世界の流れにかなう

 革新懇の「三つの共同目標」の生命力を世界の流れに照らして詳論した志位氏は、「この目標は、日本国民の多数の願いにかなった目標であるだけでなく、二十一世紀の世界の流れにかなった目標です。この方向にこそ未来があります」と強調。「この共同目標にそって国民多数の合意がつくられ、日本が世界の未来ある流れに合流すれば、二十一世紀の世界はすばらしいものになっていくことは、まちがいありません」とのべ、革新懇運動の提唱者の政党として運動の発展に力をつくす決意をのべました。


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