2006年11月23日(木)「しんぶん赤旗」
国交省・公益法人の違法
偽装請負なぜ起きた(下)
小手先の取り繕い
公共事業の抜本的対策こそ
国土交通省地方整備局の業務を請け負っている建設弘済会八法人の常勤役員はほぼ国交省幹部の天下りが占めていることも国会でたびたび問題になりました。
しかもこれらの公益法人は国交省地方整備局からほんらい国発注の事業や役務は複数社で競争入札を行い、一番安い価格を提示した事業者に発注することが会計法などの法令で定められているにもかかわらず、その例外とされている随意契約で仕事を受けています。
常勤役員の全員が国交省の天下り、そして中には100%随意契約で発注している地方整備局もあります。非常に不透明な癒着構造が長年にわたって続けられていたのです。
出向者が積算業務
さらには、九州弘済会に出向している民間企業の技術者が入札の際の予定価格を決める積算補助業務を行いましたが、その対象事業を出身元の企業が受注するということまで起こっています。
このような事態に、ことし七月、国交省は「建設弘済会への業務のあり方検討委員会」を開催して「建設弘済会への業務委託のあり方について」を取りまとめました。そのなかでは「今後は原則として、弘済会へ委託した業務は弘済会の職員自ら実施する…弘済会において出向者に依存しない業務執行体制を構築していく」としています。
また、偽装請負という指摘についても、「ほんらいの請負契約の趣旨に基づく業務の執行を行う」としています。しかし、これはまったく小手先の取り繕いにすぎません。
現体制で行う矛盾
指摘したように、最近漸減傾向にあるとはいえ、国の予算だけで七・二兆円にのぼる公共事業費を維持したまま、現在の公務員の人員、体制で行っていることに根本的矛盾があります。それをなおざりにして、問題の解決はありません。
政府はこれまでムダと浪費の公共事業を拡大する一方、国民の命と暮らしを守るための災害対策、住宅建設などの予算を減らしてきました。こうした根本的問題にメスを入れるとともに、当面、国交省は業務委託労働者や公共事業現場で働く公務労働者の雇用と労働条件を改善することに努力すべきであり、こうした事態を招いている公共事業のあり方そのものに抜本的対策を講じるべきです。(おわり)
(国民運動委員会 高瀬康正)