2006年11月25日(土)「しんぶん赤旗」
教育への「不当な支配」
“国の場合もある”
参院教基法特別委 文科相認める
教育基本法改悪法案の最大の問題点と指摘されている国家による教育内容への介入について、二十四日の参院教育基本法特別委員会で伊吹文明文部科学相は、「国であろうと、一部の政党を陥れようとか、一部の宗教的考えを持って教育行政を行えば、『不当な支配』になる」と述べ、国家も「不当な支配」を行う場合があることを認めました。二十二日の同委員会での「(改悪法案では)法律によって行われる行政は不当な支配に当たらないと明記している」という答弁を修正したものです。民主党の福山哲郎議員への答弁。
さらに伊吹文科相は「内閣がつねに正しいことをしているとは限らない」とのべ、「(政党の)お互いの政治的イズムを抑制しながら対応する」と国家介入の抑制の必要を認めました。
伊吹文科相は答弁で、「教育行政機関が行う行政でも、右にいう『不当な支配』にあたる場合がありうる」とした一九七六年の旭川学力テスト事件最高裁判決を読み上げました。
解説
政府も覆せない最高裁の判決
現行の教育基本法は第一〇条で「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と定め、教育内容に対する国家の介入をいましめています。しかし教育基本法改悪法案はこの「国民全体に…」以下を「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり」と変えており、政府は「国会において制定される法律に定めるところにより行われる教育が、不当な支配に服するものでないことを明確にした」と繰り返してきました。
日本共産党の志位和夫委員長は五月の衆院教育基本法特別委員会で、最高裁判決は憲法の要請として教育に対する国家介入は抑制的であるべきだと述べていることを示し、改悪法案は憲法違反だと政府を追及し、小坂憲次文科相(当時)は「教育内容への国家的介入は抑制的であるべきだ」と認めました。今回の伊吹文科相の答弁は政府も憲法にもとづく最高裁判決まで覆すことはできないことを改めて示したものです。(北村隆志)