2006年11月25日(土)「しんぶん赤旗」
「防衛省」法案は「ミニ改憲」
衆院委 参考人が批判
衆院安全保障委員会は二十四日、海外派兵を自衛隊の本来任務とし、防衛庁を省に移行する「防衛省」法案について、参考人として軍事ジャーナリストの前田哲男氏、首都大学東京法科大学院の富井幸雄教授、東洋英和女学院大学の増田弘教授の三人から意見を聴取し、質疑をおこないました。
前田氏は、現行の自衛隊法第三条が、自衛隊の本来任務を“日本防衛”と定めていることについて「私は超えていると思うが、憲法九条との関係でギリギリの整合性のある条項としてつけ加えられたものだ」と指摘。海外活動を本来任務に加えることは「自衛隊法の憲法に対する下克上が決定的になる」と述べました。
また安保条約上、日米軍事協力が“日本防衛”に限られていることを挙げ、「日米同盟」を理由に海外活動を本来任務化することは「本末転倒だ」と述べ、「この法案は、自衛隊の性格を根本的に変えるもので“ミニ改憲”といえる性格を持っている」と批判しました。
日本共産党の赤嶺政賢議員は、海外派兵の本来任務化と米軍再編との関係を質問。前田氏は、本来任務化について「専守防衛を公式に放棄するもので、大転換だ」と述べ、日米の軍事組織の機能統合を進める米軍再編と「緊密に結びついている」と答えました。
富井氏は意見陳述で「(法案に)反対の立場ではない」としつつ、政府が、法案の必要性を「自衛隊員の士気が上がる」と主張していることについて「省でないと士気があがらないのか」と疑問を示しました。
増田氏は、法案について「適切だ」と主張。ただ「近隣諸国とりわけ中国や韓国の懸念表明は十分予想される。かつて日本の侵略を受けたという懸念が払しょくされていない諸国への丁寧な説明が必要だ」とも述べました。