2006年11月25日(土)「しんぶん赤旗」

05年度決算

仁比議員の質問(大要)

参院本会議


 日本共産党の仁比聡平議員が二十四日の参院本会議で二〇〇五年度決算に対して行った質問(大要)は次の通りです。


強行採決に抗議

 いま、いじめにより子どもたちが自ら命を絶っています。どうすればいじめや自殺をなくせるのか。未履修問題で問われる、本当の学力を保障する高校教育の役割は何なのか。親も、先生方も、国民みんなが胸を痛め、真剣に考えています。この国民的議論に応え、これを真正面から受けとめて徹底審議を尽くすのが国会の責任ではありませんか。

 にもかかわらず教育基本法改定という憲法に準ずる法案を、与党単独で強行採決した衆議院での暴挙に、私は怒りをもって抗議をするものであります。

 まず総理に聞きたい。政府は今の教育基本法のどこが悪いから変えるというのか、いまだに語られていません。「なぜ改正が必要かは一向にはっきりしない」。この国民の声に、総理はどう答えるのですか。

 政府案は、「愛国心」などあれこれの「徳目」の強制によって憲法一九条が保障する内心の自由を侵し、いまの基本法一〇条を変えて、国家権力が教育の内容に無制限に介入できるようにし、憲法が保障する教育の自由と自主性を侵すものです。

 総理は、総理が「目指す『美しい国、日本』を実現するために、教育が必要だ」「教育の目的は、志ある国民を育て、品格ある国家、社会をつくること」にあると繰り返してきました。

 ですが総理、子どもはあなたの国づくりの道具ではありません。時の政府の人づくりに子どもたちを従属させるのではなく、子どもたちの成長発達に応じて、知育・市民道徳・豊かな情操・体育を、すべての子どもたちのものとし、子どもたちが本来持っているさまざまな可能性を伸ばすことこそ教育の本質です。

 それは教師と子どもたちとの全人格的営みを通じて行われなければならないものと考えますが、総理、違いますか。明確な答弁を求めます。

格差是正は急務

 二〇〇五年度決算について質問します。政府は「景気は記録的回復だ」といいますが、多くの国民にそんな実感はまるでありません。

 本格的な庶民大増税に踏み出した二〇〇五年度予算案にわが党は厳しく反対しました。実際に五百万人もの高齢者への増税が通知された今年六月から、抗議と問い合わせが殺到しています。

 ある七十歳の男性は「年金は減るのに、ゼロだった住民税が二万二千六百円、国民健康保険料、介護保険料あわせて年に七万二千円もの負担増だ。庶民の暮らしがわかっているのか」と怒り、加えての介護や医療の過酷な負担増は、これまで何とか自立してきた高齢世帯をもがけっぷちにまで追い詰めています。

 総理はこの重大な現実をどのように認識しているのですか。

 小泉「構造改革」のもとでひろがった格差と貧困をただすことこそ急務です。ならば、そのために所得の再配分という税制の本来の機能を強化することこそ国の責任ではありませんか。

庶民増税中止を

 この間すすめられてきた大企業減税はこれに逆行するものです。高齢者に押しつけられた所得税・住民税増税は年三千九百七十億円。その一方で、財界の要求で導入された連結納税制度だけでその減税効果はこの四年間、なんと一兆三百億円に達しているのです。

 大企業は、これらの優遇措置とリストラ、雇用の非正規化で人をモノのように扱って人件費を削り、いまや空前の利益をおう歌しています。大企業のもうけは、〇一年からの四年間でほぼ二倍です。トヨタ自動車がこの九月中間決算までに一兆円の大台に乗せたのをはじめ、わが国大企業はすでに十分な国際競争力を持っている。こういうところにこそ負担能力に見合った応分の負担を求めるのが、当然ではありませんか。

 ところが財界の強い要請のなか、政府税制調査会の本間会長は、これまでも引き下げられてきた法人税の実効税率について、現在の約40%を「35%ぐらいまでもっていく必要がある」と語りました。もしそうなら二兆円規模のさらなる大企業減税になります。この求めに、本当に応じるつもりですか。

 この間、資産格差も急激に広がりました。あるシンクタンクによれば、今や一億円以上の金融資産を持つ大金持ちは八十二万世帯に急増しています。

 その資産形成の多くを占める株の取引による株式譲渡益、配当への税率は、〇三年からそれまでの半分以下の10%に引き下げられていますが、格差を是正するつもりがあるのなら、この特例措置は直ちに廃止すべきではありませんか。これもまた「継続すべきだ」という声が政府内から聞かれますが、総理の考えをお聞かせいただきたい。

 最後に聞きたい。大企業減税は参議院選挙前に、消費税大増税は選挙のあとに検討する――これほどあからさまな選挙対策はないのではありませんか。

 格差をさらに広げる庶民大増税を中止し、大企業と大金持ち減税の逆立ちをただすことを強く求めて、質問を終わります。


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