2006年11月26日(日)「しんぶん赤旗」
青石綿、89年に使用
厚労省 公式見解と食い違い
大阪
アスベストによる健康被害問題で、毒性の強い青石綿(クロシドライト)を一九八九年に大阪府内で使っていたとする公文書がみつかり、厚生労働省は二十五日までにこの事実を公表しました。
同省はこれまで、“青石綿の八九年使用中止確認”を公式見解としてきただけに、同見解と矛盾する内部文書があったことで、政府の石綿調査が使用実態を正確に反映していない可能性がでてきたわけで、政府に石綿問題の再検証を迫るものとなっています。
見つかったのは、大阪労働基準局(現大阪労働局)が八九年十二月、岸和田労働基準監督署長にあてた文書。今年七月に情報公開請求があり、八月に大阪労働局職員が“見つけ”ました。
旧労働省は八九年九月、全国の石綿製品を製造している事業場に、石綿の使用実態を調査するよう指示。文書では、府内六十五事業場で、青石綿百二十二トンが使用されたと記載されています。
しかし、厚労省は、石綿問題を検証した昨年八月の関係閣僚会議に「八九年の調査で、青石綿を使用する事業場がないことを確認している」と報告。九○年二月に全国三百五十九事業場を対象とした調査結果で青石綿を使っている事業場がなかったとして、青石綿が八九年に国内で使用中止になったとする公式見解を示してきました。
同省は、当時の関係者から事情を聴くとともに、全国の労働局にも調査を指示。年内に再調査結果を公表します。
青石綿は六種類ある石綿の一つで、国際労働機関(ILO)が八六年に、青石綿使用を原則禁止する石綿条約を採択し、世界保健機関(WHO)も八九年に使用禁止を勧告しました。ドイツが八六年、フランスが八八年に使用禁止しましたが、日本は九五年になってやっと製造・輸入を禁止するなど、規制が後手になっていました。