2006年11月30日(木)「しんぶん赤旗」
裁量労働制
さらに緩和を提案
労政審 有期雇用でも素案
厚生労働省は二十八日の労働政策審議会労働条件分科会に、長時間労働の温床となっている裁量労働制をさらに緩和することを提案しました。
裁量労働制は、実際に働いた時間に関係なく労使で決めた時間を労働時間とする制度。長時間労働をひどくし、サービス残業を合法化するとして問題になっています。
厚労省は、企画立案などを行う労働者を対象とする「企画業務型裁量労働制」について、中小企業では「主として従事する労働者」と要件を緩和することを提案しました。労働時間規制を取り払う「日本版ホワイトカラーエグゼンプション(適用除外)」と併せて労働時間の規制緩和・撤廃をすすめる内容です。
審議では使用者委員が「使い勝手が悪いので緩めて柔軟にすべきだ」と賛成。労働者委員は「裁量もないのに対象にされている」「『主として』などとあいまいな基準を持ち込むべきでない」と反対しました。
厚労省はこの日、新たにつくる「労働契約法」に盛り込むパートなど有期雇用にかんする素案についても提示しました。
労働側が求めていた有期契約を繰り返している労働者の正社員化については盛り込まれず、「不必要に短期契約を反復更新しないよう配慮しなければならない」との表現にとどまりました。
六月にまとめた中間報告では、雇用期間が一年を超えたり契約更新が三回を超えた場合、「正社員への優先的な応募の機会を与えなければならない」としていましたが、それより後退しました。
現在、一年を超えて継続勤務している場合に求められる「雇い止め(解雇)予告」についても、「一定回数以上更新された場合」を加えたものの回数は明示しませんでした。六月段階では「三回程度」としていました。