2006年11月30日(木)「しんぶん赤旗」
1年契約のパート ヨーロッパでは?
〈問い〉 1年間の雇用契約を繰り返して働いているパートです。契約更新のたびに、首を切られるのではないかと不安になります。ヨーロッパでも、こうした働き方になっているのでしょうか?(東京・一読者)
〈答え〉 1年とか半年といった短期の雇用契約(有期雇用契約)は、合理的理由のある場合にのみ認められるというのが、国際労働基準です。ヨーロッパ諸国では、この基準を法律に明記しています。日本には、こうした規制が存在せず、契約期間満了を理由に雇い止めにするという事実上の解雇が横行しています。
国際労働機関(ILO)の「使用者の発意による雇用の終了に関する勧告」(第166号)は、(1)有期雇用契約の採用を、「作業の性質、作業が行われる条件または労働者の利益」を考慮して、合理的理由のある場合に限定すること、(2)合理的理由のない場合には、有期雇用契約を期間の定めのない雇用契約とみなすこと、(3)有期雇用契約を1回または2回以上更新した場合には、期間の定めのない雇用契約とみなすこと、と定めています。
ヨーロッパ連合(EU)も「有期労働契約に関する指令」(法律)を採択し、有期労働者であるという理由で、比較可能な労働者よりも不利なとりあつかいを受けないという均等待遇原則を設けています。また、有期雇用契約の反復更新から生じる乱用防止のために、(1)有期雇用契約の更新に正当な理由を要求するか、(2)反復継続的な有期雇用契約の継続期間の上限を定めるか、(3)有期雇用契約の更新回数の上限を定めるかのいずれかを選択しなければなりません。
EU各国は、この指令を国内法化しています。
例えば、ドイツとフランスでは、正当な理由がなければ、有期雇用契約を締結できないことになっています。夏のアイスクリーム販売だとか、期限を切ったプロジェクト事業とかです。
イギリスでは、有期雇用契約の最長継続期間を4年に制限し、4年をこえると、期間の定めのない契約とみなされることになっています。
わが国では、非正規労働者が労働者の3分の1以上を占めるまでになっている今日、有期雇用契約が解雇規制を回避する目的で利用されることのないように、ヨーロッパなみの規制が必要です。(筒)
〔2006・11・30(木)〕