2006年12月2日(土)「しんぶん赤旗」
07年度税制政府税調答申
庶民に増税 大企業に減税
「逆立ち税制」あらためよ
小池政策委員長の談話
政府税制調査会が一日決定した二〇〇七年度税制「改正」答申について、日本共産党の小池晃政策委員長は同日、次の談話を発表しました。
一、本日、政府税制調査会が決定した〇七年度税制「改正」についての答申は、来年度の減価償却制度の見直しによる減税に加えて、法人税の実効税率の引き下げなど、大企業への巨額の減税方向を打ち出した。「財政危機」とか「社会保障の財源がない」などといって、庶民には増税と社会保障切り捨てを押しつけながら、増えた税収を大企業にばらまこうというのである。このようなことを許せば、そのツケは消費税率引き上げをはじめとした、いっそうの庶民増税にはねかえることになり、絶対に容認できるものではない。
一、「いざなぎ景気を超えた」といわれながら、家計の所得は減り続け、貧困と格差の広がりが社会問題になるなど、庶民の暮らしは苦しさを増している。税調答申は、「経済活性化を目指す」などといっているが、それならば、庶民減税によって家計の底上げをはかることこそが必要である。ところが税調答申が打ち出したのは、大企業への減税ばかりである。庶民には、小泉内閣のもとで、この三年間に三・五兆円もの増税が行われたうえに、来年も所得税・住民税の定率減税の全廃によって一・七兆円もの増税が襲いかかってくる。高齢者も、雪だるま式に住民税と保険料の負担が増えつづける。税調答申は、こうした増税路線はそのままにしたまま、住民税均等割引き上げなど、いっそうの増税の方向まで打ち出している。
一、その一方、大企業や大資産家には、いっそうの減税が行われようとしている。
来年度に行うとされた減価償却費の計算方法の変更は、少なくみても五千億円以上の減税となり、巨額の設備投資をしている大企業ほど、この減税の恩恵を大きく受けることになる。
答申はさらに、法人課税の実効税率を引き下げる方向を打ち出した。日本経団連は実効税率を40%から30%に引き下げることを要求しているが、これが実行されれば、トヨタ自動車一社で一千億円、キヤノンは四百億円、全体では五兆円近い大減税となる。
株式配当や株式譲渡所得への税率がわずか10%という、アメリカのブッシュ減税をもはるかに上回る「超金持ち減税」についても、期限通りに終結するのではなく、部分的に継続して、優遇措置を温存する方向が打ち出された。
政府は、景気が悪いときには「企業も経営が大変だから」といって減税し、企業のもうけが増えてきたら「税収増加分を還元する」といって減税する。まさに「大企業減税ありき」であり、理屈などどうでもいいというのが、政府の姿勢である。史上最高の利益をあげている大企業に、減税のばらまきを行う道理はまったくない。
一、庶民には増税、大企業には減税という「逆立ち税制」を、ただちにあらためさせなければならない。日本共産党は、(1)定率減税の廃止や高齢者への増税など、庶民への増税をただちに中止すること(2)大企業・大資産家へのいっそうの減税を中止し、優遇税制を見直すこと(3)消費税増税など、今後の庶民増税の策動を中止すること―を強く求め、国民のみなさんとともに、たたかうものである。