2006年12月2日(土)「しんぶん赤旗」
竹島問題 日韓双方の主張は?
〈問い〉 志位和夫委員長が先日の韓国訪問で、竹島問題についてのべた、日本の主張の「歴史的根拠」、「韓国側の主張」とは?(東京・一読者)
〈答え〉 日本の主張の「歴史的根拠」 17世紀以降、日本人が竹島(当時は松島と呼ばれていた)に渡ってサザエ漁やアワビ漁などの経済活動をおこない、この島についての正確な知識を持っていたということは、文献的にも確認のできる歴史的な事実です。1905年の竹島の領土編入は、この島についての歴史的な権原を持つ日本が、国際法に基づいて自国領土に編入した、と解釈することができます。しかし、それだけでかたづけることのできないさまざまな問題が残されています。
韓国側の主張は 6世紀以来の韓国側の文献で、独島(竹島の韓国名)は韓国固有の領土であるとしています。しかし日本側は、それらの文献に現れる「于山島」や「三峯島」が現在の独島(竹島)であるかどうかは、かならずしも明確ではない、と批判しています。
また韓国側は、日本が明治の初期に、いったんは竹島(当時の松島)を自国領土とは「無関係」であると決定したことを重要視しています。
日本が竹島を領土編入した1905年という年は、日本が朝鮮半島を植民地化する過程と重なっていました。この時点ですでに事実上外交権を奪われていた韓国は、国際的に異議を唱える手段を奪われていました。こうした歴史的背景があるにもかかわらず、日本政府が、かつての侵略戦争や韓国植民地支配をどう見るかについてあいまいな態度をとっていることが、この島をめぐる問題を複雑にしています。竹島問題解決の前提としても、日本政府の歴史認識が正されることが求められています。
その前提のうえで日韓両国が、この島をめぐる歴史的事実とその認識を両国の国民が共有できるようにするための共同作業をおこない、納得のできる方向で問題の解決を図ることがめざされる必要があります。
同時に、そうした根本的な問題解決の以前にも、漁業問題など、両国民の利害に直接かかわる問題では、共存・共栄の精神で漁労と資源保護などをおこなうことは可能であると考えます。排他的経済水域(EEZ)設定問題や、島周辺での海洋調査などについても、それぞれの国が自国の利益のみを主張するのではなく、両国の共通の利益を見いだす方向で協力がすすめられるべきで、万が一にも軍事的衝突などがあってはなりません。
侵略戦争や植民地支配に対する日本側の歴史認識が正されて両国間に真の善隣友好関係が確立され、竹島をめぐるさまざまな共同作業が積み重ねられていけば、将来的に、この島をめぐる日韓の協調的な対応ということも議論される日がくるかもしれません。(国)
〔2006・12・2(土)〕