2006年12月6日(水)「しんぶん赤旗」

財界“直接雇用義務外せ”

派遣期限の撤廃要求

経財会議の議事録で判明

偽装請負を「合法化」


 十一月三十日に開かれた経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、同会議に参加する民間議員が、一定期間働いた派遣労働者に企業が直接雇用を申し入れる義務の撤廃を求めていたことが五日、公表された議事要旨でわかりました。


 御手洗冨士夫キヤノン会長(日本経団連会長)や八代尚宏・国際基督教大学教授ら民間議員四人は「複線型でフェアな働き方に 労働ビッグバンと再チャレンジ支援」という文書を同会議に提出しました。八代氏は発言の中で労働者派遣法について、「派遣期間を制限することで、本当にその人が正社員になれる保証はどこにあるのか」と述べ、「派遣社員の対象職種や働く期間の制限」の見直しを主張しました。

 現行の労働者派遣法は派遣契約の期間を原則三年(製造業は一年)までとし、それを超えて働かせる場合には派遣先企業が直接雇用を派遣労働者に申し入れる義務を負います。大企業は正社員化を逃れるために違法な偽装請負まで行っており、キヤノン・グループも偽装請負を摘発されました。御手洗会長は十月十三日の諮問会議で「請負法制に無理がありすぎる」「見直してほしい」として、正社員化の規定の撤廃を要求しました。

 また、八代氏は「管理職以外の一定層」も「時間に縛られない働き方ができる範囲を拡大することが必要である」と現行の八時間労働制の撤廃も提唱しました。

 民間議員は諮問会議に専門調査会を設けて「労働ビッグバン」の議論と称して派遣法以外にも労働法全体を大企業の利益に沿って検討することを求めました。


 労働者派遣法 職業安定法は、雇用主が労働者に直接、雇用責任を負うとしています。他の業者が雇った労働者を働かせるのは原則違法です。例外が、一九八五年に制定(八六年施行)された労働者派遣法です。厚生労働大臣が許可した派遣業者から労働者の派遣を受けることが合法化されました。制定当初は十三の業種に限定されていましたが、人件費の安い派遣労働者を使いたい大企業の要求で九九年には原則自由化、二〇〇四年には製造業にも解禁され、ほぼ全業種で直接雇用の原則が崩されています。


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