2006年12月7日(木)「しんぶん赤旗」
ゲーツ国防長官承認へ
“イラクで勝利していない”
米上院委で証言 撤兵時期 明言せず
【ワシントン=鎌塚由美】米上院軍事委員会は五日の公聴会で、更迭されたラムズフェルド国防長官の後任にロバート・ゲーツ元中央情報局(CIA)長官を充てる人事に全会一致で賛成しました。証言でゲーツ氏は、イラク戦争で米国は「勝利を収めていない」と語りましたが、具体的な方針は示しませんでした。
今後のイラク政策では「問題解決のために、すべての選択肢がテーブルにのせられている」と表明。米軍の段階的撤退の見通しについては、「現場の状況による」「まず現場の司令官から話を聞く」と語り、具体的な言及を避けました。
また、「この一、二年にイラクで対応を誤り、イラクを無秩序にして米軍が去れば、さまざまな近隣諸国がイラクに介入し、地域紛争となる」と指摘。「ソマリアからの米国の撤退がビンラディンを勢いづかせた」とも語り、イラクからの早期撤退論を退けました。
同氏は、現在のイラク軍の能力からみても米軍のイラク駐留は「長期化せざるを得ない」と述べ、「戦略変更後も一定の部隊を維持する」との見通しを示しました。
六日に発表される超党派委員会「イラク研究グループ」の提言を尊重する姿勢を示しましたが、同提言は「決定版ではない」とも語りました。
上院軍事委員会は、五時間あまりの公聴会で、ゲーツ氏をあっさり承認。議員たちは、同氏の「率直さ」を高く評価。ヒラリー・クリントン議員は、ラムズフェルド長官には「その率直さが欠けている」と述べ、ゲーツ氏を歓迎しました。ゲーツ氏は、六日にも上院本会議で正式に承認される見通しです。
同氏は、ブッシュ父政権で一九九一年から九三年までCIA長官を務めました。