2006年12月8日(金)「しんぶん赤旗」
主張
「12・8」65周年
戦争の反省いまこそ生かして
日本が中国などへの侵略戦争に続いて、アメリカ、イギリスなど世界各国との戦争(太平洋戦争と呼ばれた)に突入した一九四一年十二月八日から、六十五周年を迎えました。一九三一年九月の当時「満州」といわれた中国東北部への侵略から数えれば一九四五年八月の敗戦まで十五年にわたったこの戦争で、日本は二千万人を超すアジアの人々と三百万人以上の日本国民の命を奪い、国土を破壊しました。開戦から六十五周年の節目にあたり、戦争の惨禍を改めて思い起こし、二度と誤りは繰り返さない反省をいまに生かしていくことが大切です。
戦争責任に向き合う
とりわけ重要なのは、アジア諸国を侵略し植民地として支配した日本の戦争責任問題に正面から向き合い、それをあいまいにして侵略戦争を正当化する一切の逆流や“巻き返し”に反対することです。
小泉前首相は、過去の戦争を「正しかった」とする靖国神社への参拝を繰り返し、日本の戦争責任をあいまいにするものだと、内外の批判を集めました。侵略戦争を美化する態度は、アメリカいいなりや大企業中心主義と並んで、自民党政治の異常さを浮き彫りにしました。
その小泉氏以上に反動的な歴史観を持つといわれた安倍首相は、首相就任後の国会答弁で、植民地支配と侵略を「国策の誤り」とした九五年の村山首相談話や「従軍慰安婦」問題での九三年の河野官房長官談話を継承すると認めました。直後には中国、韓国を訪問して「歴史を直視」すると約束しました。内外の批判に押され、侵略戦争を美化する歴史観、戦争観が首相として口にできないものであったことを証明したのです。
日本が侵略と植民地支配の誤りを認め、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」(日本国憲法)ことを誓ったのは、日本の戦後の原点です。たとえ個人的にどのような歴史観を持っていても、首相になった以上はこの原点を守りぬく責任があります。そして、国会の場でも、外交交渉でも、いったん公式に約束した以上、それを行動で示す責任があります。
日本共産党は侵略戦争を正当化する逆流を、戦後の世界とアジアで日本が生きていく基本にかかわる問題だとして重視し、その批判と克服のために力をつくしてきました。こうした日本共産党と国民のたたかいが、歴史問題で情勢を一歩前に進める結果をもたらしたことは明らかです。
もちろん侵略戦争を正当化する「靖国」派は、安倍首相の態度に動揺しつつ、巻き返しも狙っています。安倍内閣自身、戦後の「レジーム」(体制)を変えていくという安倍首相のもとで、発足後最初の国会で教育基本法改悪案の成立をたくらみ、首相が任期中の五年をめどに憲法を改悪することを明言するなど、侵略を反省するとのことばに背いて、アメリカとの同盟のもと日本を海外で「戦争のできる国」にする策動を続けています。逆流とのたたかいは、いままさに国政の重大問題です。
侵略戦争に反対した党
日本共産党が戦争責任問題での逆流を許さないたたかいで力を発揮できるのは、党創立以来、侵略戦争と植民地支配に反対してたたかった、ただ一つの党であることに裏付けられたものです。
日本共産党は今後も全力を挙げます。戦争責任にしっかりと向き合い、逆流を許さず、日本と世界の平和を切り開いていくために、力を合わせ、強めようではありませんか。