2006年12月9日(土)「しんぶん赤旗」
Q&A そもそも特定財源って?
税金の道路特定財源を何にでも使える一般財源にするかどうかが、二〇〇七年度予算の焦点の一つになっています。八日には政府の「見直し案」も出ました。何が問題なのでしょうか。(矢守一英)
道路限定の財源
Q そもそも道路特定財源とはどんな税金なの。
A 道路特定財源は使い道が道路整備に限られている税金のことです。〇六年度予算では、国の財源として約三・五兆円、地方の財源として約二・二兆円の合計五兆七千億円にのぼります。大きく分けて二種類あります。
一つはガソリンや軽油など自動車の燃料にかかる税金。ガソリン一リットル当たり約五十四円が揮発油税と地方道路譲与税という税金のかたちで上乗せされています。
もう一つは、自動車を買ったり、車検を受けたりする時に払う自動車取得税や自動車重量税です。
図にあるように、国の道路特定財源は一般会計や道路整備特別会計に繰り入れられ、道路整備(道路関連事業)に回ります。
無駄拡大を生む
Q この制度はいつから始まったの。
A 制度が導入されたのは一九五四年です。四九年から徴収が始まっていた揮発油税の税収の全額を国道や県道などの一般道路の建設や整備費用に充てることになりました。
当時は国道・県道の舗装率が5%以下しかなく、整備を急ぐためには安定した財源が必要との理由で設けられた制度です。
全国で道路整備が進み舗装率もほぼ100%になった現在、この制度を続ける理由はまったくありません。実際、道路特定財源には使いきれなくなってお金が余る余剰金が発生しています。
小泉前内閣(二〇〇一年発足)は、その余剰金を、一般道路整備以外の、本州四国連絡橋公団の借金の返済や「新直轄方式」と呼ばれる高速道路建設の費用にも流用する方式を導入。それが公共事業の無駄を拡大しています。
「財政再建」が叫ばれ、無駄な公共事業への批判が高まる中で見直しを求める世論が高まってきました。
「公約」を骨抜き
Q 見直し案ではどんなことが問題になっているの。
A おもな論点は、道路特定財源をすべて一般財源にして自由に使えるようにするのか、一部にとどめるのかどうかです。本来の税率より高く設定されている「暫定税率」を維持するのかどうかも議論になっています。
安倍首相は九月の所信表明演説で、現行の暫定税率を維持しつつ、「一般財源化」の方向で見直すことを表明していました。
ところが出てきた政府案は、国の特定財源の八割を占める揮発油税を一般財源化することにはふれず先送りするというもの。自民、公明の圧力に屈して骨抜きになった格好です。道路整備に「大盤振る舞い」を続ける構図にも何らメスは入っていません。
共産党の主張は
Q 日本共産党はどう考えているの。
A 日本共産党は、無駄と利権政治の温床になっている道路特定財源は一般財源化し、年金制度の充実など社会保障にも使えるようにすることを提案しています。
また日本共産党は、早くから一般財源化の方向を主張してきました。七七年の『日本経済への提言』では「ガソリン税の道路特定財源方式をやめる」ことを提言。八一年の『国民のための財政百科 財政再建への提言』では「一般財源化し、社会保障・福祉、生活密着型公共事業などにも使えるようにすることが緊急に必要」だと主張しています。