2006年12月13日(水)「しんぶん赤旗」
松下 いすゞ
偽装請負「是正」は名ばかり
最短3カ月の有期雇用
小池議員追及 “雇用安定へ指導を”
派遣労働者をいつまでも使えるように請負労働者として働かせる「偽装請負」が発覚し、「直接雇用」に踏み切ったとされる松下プラズマディスプレイ(大阪府茨木市)など大手製造企業で、直接雇用といっても契約期間が三カ月から二年三カ月の有期雇用でしかないことが、十二日の参院厚生労働委員会で明らかになりました。日本共産党の小池晃参院議員がとりあげたものです。
派遣法では、派遣期間は原則三年(製造業は一年)まで。それを超えて働かせる場合、派遣先が労働者に直接雇用を申し入れる義務を負います。そのため偽装請負が発覚した企業では、直接雇用に切り替えています。
小池氏によると、松下プラズマ社は、請負から直接雇用になった労働者は三カ月の有期雇用で、条件を満たせば二年間の有期雇用に再契約できます。しかし、契約条件は「入社日から2年3ケ月を超えることはありません」と明記されています。
いすゞ自動車の藤沢と栃木工場でも、請負労働者千五百人を十月から直接雇用にしました。しかし、三カ月の期間工でしかなく、「また派遣会社に戻るのでは」などと不安が渦まいています。
実際、直接雇用となった今でも、派遣の時と同じ寮に住み、同じバスで送迎され、派遣会社の監督員が出勤チェック。栃木工場では、いすゞに雇用されたのに雇用契約書も渡されていません。
小池氏は「直接雇用されても短期間でほうり出され、また別の会社に派遣されるしかなくなる。派遣労働は臨時的・一時的なもので、常用労働の代替となるものではないというのが派遣法の趣旨だ」と指摘。政府も「申し込み義務は派遣労働者の雇用の安定を図ろう」とするものだと答弁(鴨下一郎副大臣=当時、二〇〇三年五月)していたことを紹介し、「松下やいすゞのやり方は派遣法の趣旨に反する。法の趣旨が生かされるように指導すべきだ」と迫りました。
青木豊労働基準局長は雇用契約書を渡していないことについて、「文書明示を定めた労基法一五条に違反する。法令違反があれば必要な指導監督をおこなう」と答弁。雇用の安定につながらない有期雇用については、高橋満職業安定局長は「当事者間で話し合って決めていただくもの」と答えました。小池氏は「当事者まかせは無責任だ。法律の趣旨に反する。厚労省は労働者にたいする責任を果たすべきだ」と強調しました。