2006年12月14日(木)「しんぶん赤旗」

夫婦別姓実現しないのはなぜ?


 〈問い〉 夫婦別姓がずいぶん前から議論されているのに、実現しないのはなぜですか? 今、どうなっているのですか? 共産党の考えは?(愛知・一読者)

 〈答え〉 法務大臣の諮問機関である法制審議会が「選択的夫婦別姓制度の導入」をふくむ民法改正要綱を答申して10年。答申は結婚による改姓が仕事や社会活動に不利益をもたらしたことなどから別姓導入をもとめる声がひろがったことなどをうけたものでした。それが、いまだに実現しないのは、政府与党・自民党のなかに強硬な反対があるからです。夫婦別姓になれば「家族が崩壊する」という意見です。

 法務省が選択的夫婦別姓制度試案を自民党に最初に提示したのが01年でした。02年には、強硬な反対意見を考慮して「例外的夫婦別姓制度」を提示しました。それも自民党内はまとまらず、以後、法務省は提案をしていません。

 98年以来、日本共産党、社民党、民主党など野党共同で提出し続けている民法改正法案は、継続審議、廃案になっています。

 そうした流れのなかで、夫婦別姓制度の導入に否定的な安倍首相の誕生によって、その実現は困難に、などの報道がおこなわれています。たしかに、大臣18人中11人は、憲法改悪とともに選択的夫婦別姓制度反対をかかげる日本会議をバックアップする日本会議議員連盟のメンバーといわれています。

 しかし、「夫婦別姓制度は家族を崩壊させる」などの意見は、世界でも、日本でもうけいれられるものではありません。

 国連女性差別撤廃委員会への日本政府による条約実施状況についての6回目の報告の提出が迫っています。前回03年の国連女性差別撤廃委員会でも条約の実施義務があるとして民法改正の勧告が出されています。いっそう強い批判はまぬがれないでしょう。

 政府が日本とともに同姓制度の国としてあげてきたトルコは「どちらの姓をなのることも自由」、インドは「国の制度はない。宗教や州によって異なる」(両大使館の話)とされており、同姓制度の国とはいえません。

 国内世論も変化しています。「別姓賛成」は87年の13%から01年には42%に、「別姓反対」は66%から29%になっています。希望する人が夫婦別姓をおこなうことは認めてもいいという社会的な合意がひろがっているのです。「家族の一体感(きずな)に影響ない」とする人は半数をこえています。05年に改定された男女共同参画基本計画は、「国民合意」をかかげて「国民の議論が深まるよう引き続き努める」としていますが、国民の意思はすでに明確です。

 「議論が深まるように努める」(高市国務大臣)とのべざるをえないのも、矛盾の表れです。

 選択的夫婦別姓制度をもとめる国民の世論と運動を大きくひろげることが、実現の鍵です。(兼)

 〔2006・12・14(木)〕


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