2006年12月16日(土)「しんぶん赤旗」

住民税と国民健康保険料や介護保険料 連動の仕組みとは?


 〈問い〉 志位委員長の国会質問で、「高齢者の住民税が増税されると、連動して国民健康保険料や介護保険料の負担も増える」といっていましたが、どのような仕組みになっているのでしょうか?(鎌倉市・一読者)

 〈答え〉 国民健康保険料は、市町村によって計算の仕組みが違います。

 多くの市町村で採用されている方式(「旧ただし書方式」といいます)は、前年の所得から基礎控除額(33万円)を引いた額に国保料率をかけて、国保料の所得割を計算します。年金生活者の所得は、年金額から「公的年金等控除額」を差し引いて計算する仕組みです。

 高齢者への増税によって、この公的年金等控除が縮小され、控除の最低額が140万円から120万円に減ってしまいました。このため、所得は逆に20万円増えてしまいます。これが、国保料の計算にも影響して、国保料の負担が増えるのです。鎌倉市の場合、国保料率が6・15%ですから、20万円×6・15%で、1万2300円の負担増です。

 東京23区や横浜市、川崎市など、一部の市町村では、「住民税方式」や「市民税方式」などの方式を採用しています。これらの市町村では、住民税や市民税の額に国保料率をかけて国保料の所得割を計算するため、住民税増税の影響が国保料に連動します。横浜市の場合だと、市民税方式で今年度の国保料率は268%です。年金額240万円程度の単身高齢者世帯の場合、増税によって市民税は2万円くらい増えますが、国保料は2万円×268%で、5万円以上も増えることになります。

 国保料の均等割や平等割については、低所得世帯向けの減額措置がありますが、公的年金等控除の縮小によって所得が増えてしまうために減額措置が受けられなくなることがあり、この場合も国保料の負担が増大します。

 介護保険料は、市町村ごとに6段階とか7段階とか、保険料の段階が決まっています。住民税が課税か非課税かで、この段階が違ってくる仕組みになっているため、これまで住民税非課税だった人が増税によって課税にかわると、連動して介護保険料も増えることになります。鎌倉市の場合、住民税非課税の単身高齢者の介護保険料は年間約3万円ですが、住民税課税になると4万9400円になり、2万円近い負担増です。

 なお、国保料や介護保険料には3年間の経過措置があるため、今年の負担増は前述の計算より少ない場合もありますが、その場合は来年、再来年と連続して負担が増えていきます。(垣)

 〔2006・12・16(土)〕


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