2006年12月20日(水)「しんぶん赤旗」
臨時国会閉幕
「たしかな野党」の本領
|
十九日閉幕した臨時国会は、安倍内閣にとっては初の国会でした。七割もの高支持率でスタートし、安倍晋三首相は「初の戦後生まれの首相」(所信表明演説)と自信満々で臨みましたが、今国会の終わるころには四割台に急落する結果となりました。
安倍内閣が「最重要法案」と位置付けた改悪教育基本法は「当初の予想をはるかに超える」(閣僚経験者)会期末ぎりぎりでの強行採決、しかも四日間の会期延長を策してやっと成立にこぎつけたものでした。
「気になった」
国民から総すかんをくらった郵政民営化反対議員の復党劇ですが、それによって自民党はいまや衆院で三百五議席をもつ巨大与党になりました。数の論理では何でも通せるはずです。
それでも会期末ぎりぎりまで改悪法を成立させることができなかったのは、改悪法自体が、内心の自由、教育の自由をじゅうりんする二重の違憲立法という根本問題を抱えているからであり、それを国民世論が許さなかったからです。ある自民党議員秘書は「連日、国会議員会館に学校の先生たちが要請にきた。地元で反対の声が広がっているのがとても気になっていた」と語ります。
日本共産党の国会論戦はその国民世論を背景に、競争教育を激化させる安倍「教育改革」と改悪法との関係を明らかにしました。タウンミーティングの「やらせ」問題を徹底追及。こんな政府に改悪法案の提出資格がないことを明らかにし、全面調査を余儀なくさせました。
国会の最終局面、民主党参院議員の一人は「もうわれわれは(与党の採決を)止められない。共産党さん、何かないか」と嘆きました。同党は参院で安倍首相に対する問責決議案の提出に背を向けました。時の政権に真正面から対決する「たしかな野党」――日本共産党のこの立場こそ安倍内閣を追い詰めたのです。
国民世論とのスクラムでかちとった成果は、政府に「偽装請負」の是正通達を出させたり、「ワーキングプア(働く貧困層)を前提に生産の現状が確立されているのであれば大変な問題」と安倍首相に答弁させたりと枚挙にいとまがありません。「共産党の論戦は重かった」(自民党衆院議員)のです。
2大選前進を
日本共産党は安倍内閣の真の対決者だけでなく、自民、民主の「二大政党」でつくりだされた害悪への徹底した対決者でもありました。
北朝鮮の核実験実施の対応をめぐり、自民、民主両党の一部から軍事対応論が噴出したのに対し、「国際社会が一致協力して平和的・外交的解決を」と主張。自民・公明・民主で可決した「防衛省」法について、「海外派兵の本来任務化は政府の『日本防衛』という建前をも根本から崩すもの。憲法改悪を先取り的にやろうとしている」と本質を突く論戦を繰り広げました。
復党で党利党略を露骨にみせた自民党、その自民党の延命装置の役割を果たしている公明党、「対決軸」といいながら、自民党と国政の基本問題で根本的な違いをみせられない民主党。こうした各党の立ち位置は、間近に迫ったいっせい地方選、参院選で国民との矛盾は避けられません。国民の声がさらに届く国会に向けて、「たしかな野党」・日本共産党の前進は不可欠です。(高柳幸雄)