2006年12月22日(金)「しんぶん赤旗」

「福祉の心」すて、大企業に大盤ぶるまい――日本共産党の前進で「逆立ち」政治ただそう

神奈川 志位委員長の演説から(要旨)


 日本共産党の志位和夫委員長が二十日、横浜市内でおこなった演説のうち、地方政治に関する部分(要旨)を紹介します。


写真

(写真)演説する志位和夫委員長=20日、横浜市

 神奈川県議会も、横浜、川崎の両市議会も、自民、公明、民主は「オール与党」です。知事選で自民党は独自候補を立てますが、中身に違いはありません。選挙が終われば、もとのさやにおさまってしまいます。議員選挙では、「オール与党」か日本共産党かが争点です。「オール与党」の県政・市政には三つの特徴があります。

「福祉の心」がない

生活保護の切り捨て 

 第一は「福祉の心」がないことです。

 国政でも生活保護の切り縮めが問題になっていますが、神奈川県政では、生活保護世帯への県独自の四つの支援制度の廃止が問題になっています。慰問金(年二回、各四千円)、小中学校入学祝い品(一万円分の図書券と文具券)、小中学校修学旅行支度金(修学旅行に参加できるよう小学生五千円、中学生六千円)、中学卒業生就職祝い金(中卒で就職する子どもに一万円)という「福祉の心」がこもった制度の廃止です。

 「オール与党」・松沢成文県政は、初めて編成した二〇〇四年度予算で、「慰問金」を廃止し、さらに〇五年度予算で、三つの支援制度も廃止しました。マスメディアも「『メリハリ』弱者直撃 生活保護世帯の『慰問金』廃止」(「朝日」〇四年三月二日付)と告発しました。

 国が悪い方向に動いたら、住民を守るのが自治体ではないでしょうか(「そうだ」の声)。しかし、このやり方に「オール与党」はもろ手を挙げて賛成し、制度の復活を求める請願にはそろって反対したのです。「福祉の心」のかけらもない勢力に、地方自治をあずかる資格はないと訴えたいのであります。(拍手)

横浜市営バス路線の廃止

 横浜市政では、市営バス路線の廃止が問題になっています。市は九月、五十八路線を廃止する計画の全容を一方的に発表し、住民の強い反対で一部見直しを余儀なくされたものの、なお十七路線、その後十三路線の廃止計画をごり押ししようとしています。

 マスメディアからも「福祉の視点が必要」(「朝日」十一月二十一日付)と批判があがっています。調べてみますと、市バス収入に占める市の補助金の割合は、仙台市33%、名古屋市35%、京都市16%、大阪市16%、神戸市15%に対して、横浜市はわずか10%。この市政にないのはお金ではなく、「福祉の心」だといわなければなりません。(拍手)

 「オール与党」が投げ捨てた「福祉の心」をとりもどす力を日本共産党に与えてください。(大きな拍手)

目にあまる大企業甘やかし

「呼び込み」型開発にしがみつく

 「オール与党」政治のもう一つの問題は、目にあまる大企業の甘やかしです。県と横浜市、川崎市は「呼び込み」型開発を推進しました。無残に破たんし、税金が赤字の穴埋めに使われています。

 県では寒川町、平塚市ですすめている「ツインシティ」――「新幹線の新駅ができるから」と始めたが、その見通しがたたなくなったら、「開発すれば新駅ができる」と言いだした計画。

 横浜市では「みなとみらい21」――関連事業を含めて市費を千六百二十二億円つぎ込んだが、広大な空き地が広がる。

 川崎市では「川崎港」――市費を三百億円つぎ込んで整備したが、船は来ず、川崎港コンテナターミナルは破産し、負債総額八十億円。

 これだけ破たんしているのに、無反省なのが「オール与党」政治です。県と横浜市と川崎市で、さらに「神奈川口構想」という巨大「呼び込み」型開発にのりだすといいます。羽田空港の拡張に便乗し、神奈川県と羽田空港を結ぶ新たな高規格道路と鉄道をつくり、臨海部に物流企業や商業施設を呼び込もうというのです。総事業費は千七百億円から二千四百億円。こんな無謀な計画は、きっぱりストップをという審判をくだそうではありませんか。(拍手)

大企業誘致の札束攻勢

 もう一つの問題は、大企業への札束攻勢です。県は「企業誘致」のために新たに「インベスト神奈川」という制度を創設しました。企業が県内に本社や工場、研究所を建設したら補助金を出すというのです。本社や工場は五十億円まで、研究所なら八十億円まで出してやるといいます。

 この間、日産自動車、富士写真フイルム、味の素、ソニー、キヤノンなど大企業十七社に五百七十八億円もの交付が認定されています。日産自動車一社(横浜に本社・工場、厚木に研究所)だけで、県と市から二重に補助金が入り、おまけに固定資産税と都市計画税の減税までプレゼントして、合計百六十九億七千二百万円(「ほう」の声)。弱い立場の人からはわずか四千円の「慰問金」を削り、年間五千億円も利益をあげている大企業一社に百六十九億七千二百万円もくれてやる。こんな「逆立ち」した政治は大もとからあらためるべきではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

議会のあり方が問われている

 では「オール与党」議員は何をやっているのか。豪華海外視察をやっているのです(笑い)。この四年間を調べてみたら、県、横浜市、川崎市で、自民五十人、民主四十六人、公明三十五人が参加し、費用は一人八十万円から百万円前後。自民は「ヘリコプターでドナウ川視察」、公明は「インカ帝国・アマゾン川視察」、民主は「フィレンツェ町並み・ローマ視察」。こんなことをやっている。(笑い)

 そのなかで日本共産党の議員団は、住民の願いにこたえ、運動とむすんで政治を動かしてきました。一例を紹介しますと、県議団は、県に国保証の機械的な取り上げを防ぐ指導を市町村におこなうよう約束させました。横浜市議団は、障害者自立支援法による一割負担問題で、市独自の軽減策を要求し、低所得者への福祉サービスの利用料負担を全額市が負担する仕組みをつくらせました。川崎市議団は、三十回をこえる質問で乳幼児医療費助成の拡充のために奮闘し、来年一月から助成が小学校入学前まで拡大しました。

 「福祉の心」をもち、住民の声を届ける議員本来の活動をすすめているのが日本共産党です。この党を大きくのばしてください。(大きな拍手)


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