2006年12月25日(月)「しんぶん赤旗」

大企業・大資産家に減税1兆円

庶民に増税1.7兆円

政府、来年度予算案を決定


 安倍内閣は二十四日の臨時閣議で、二〇〇七年度予算政府案を決定しました。「成長戦略」を口実に、減税や大型公共事業重視で大企業優遇をいっそう拡充します。財界の要望に忠実に応えた予算案となりました。一方、庶民には定率減税廃止による増税と社会保障改悪でそのツケを押し付けます。


 自民、公明両党によってすでに決められた定率減税廃止が庶民の家計を直撃する〇七年。その負担増は所得税と住民税をあわせて約一兆七千億円になります。

 一方、大企業と大資産家に対しては、減価償却制度の「見直し」(減税規模六千億―七千億円、国と地方の合計)をはじめ、期限切れとなるはずだった証券優遇税制(減税規模三千億―四千億円)の延長などで、一兆円規模の減税措置が講じられる見込みです。

 政府案の「成長力強化」にかかわる項目には、物流機能強化等重点政策(九百億円)、スーパー中枢港湾(五百二十四億円)、三大都市圏環状道路(千八百五十九億円)などの大型公共事業が軒並み〇六年度当初予算に比べ大幅増額で並びました。一方、生活道路や下水道などの生活に密着した公共事業は減額されています。

 日本経団連などの財界や業界団体は、政治献金をテコに、減価償却制度の拡充や道路、港湾、空港などの物流インフラ(基盤)の整備を求めてきました。

 安倍内閣が政権の“目玉”に掲げる「成長戦略」は、結局、財界にとっての“目玉”でしかないことが来年予算案から浮かびあがります。


貧困と格差解消の願いはないがしろ

 (主な負担増項目など)

【税制】

 定率減税全廃

 高齢者への住民税増税(非課税限度額廃止に伴う経過措置縮小)

【社会保障】

 国民年金保険料引き上げ

 厚生年金保険料引き上げ

 高齢者の介護保険料引き上げ

 高齢者の国民健康保険料引き上げ

 生活保護母子加算の段階的廃止

【公共事業など】

 道路の一般改築予算削減

 流域下水道予算削減

 地方港湾のための予算削減


 減価償却制度 設備投資した費用を一定期間に分割して損金に算入し、毎年の税額を軽減することができる制度。与党は、二〇〇七年度税制「改正」大綱に、現行95%の償却可能限度額の撤廃などを盛り込みました。大きな設備をもつ大企業ほど減税効果があります。

 証券優遇税制 上場株式等の売却益と配当金にかかる税率を時限的に軽減している措置。売却益については本則20%を、〇三年から〇七年まで10%に、配当については、〇三年度から〇七年度まで本則20%を10%に軽減しています。与党はこの措置の一年延長を決めています。


一般歳出1.3%増

 安倍内閣が二十四日決めた〇七年度予算政府案は、予算の全体の規模をしめす一般会計総額が、〇六年度当初予算比4・0%増の八十二兆九千八十八億円。政府の純粋な行政支出である一般歳出は総額で、同1・3%増の四十六兆九千七百八十四億円と三年ぶりに増加しました。

 大企業がバブル期を超える空前の利益をあげるもとで、法人税収が回復。定率減税廃止による増収要因も加わり税収は、五十三兆四千六百七十億円(同16・5%増)と過去最大の増額幅となりました。

 税収増と社会保障改悪などによる歳出抑制の結果、国債の新規発行額は、二十五兆四千三百二十億円と一九九八年度以来の低水準となりました。

表

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