2006年12月25日(月)「しんぶん赤旗」
生活保護 母子加算廃止 痛い
パート収入12万がやっと
神奈川 難病と障害の2児の母
安倍内閣は二十四日、来年度政府予算案で、格差と貧困がひろがるなか、厳しい生活を強いられているひとり親家庭に支給してきた生活保護費の母子加算を、三年間で廃止するとして、来年度約四百二十億円を削減する方針を打ち出しました。生活保護を受けながら二人の子どもを育てる神奈川県大和市の佐々木陽子さん(36)=仮名=は「これ以上何を削れっていうの」と語気を強めました。(岩井亜紀)
佐々木さんは二十三歳で結婚しました。しかし、夫は生活力がなく、病気がちの子どもにあたるようになったため、六年前に離婚。現在十二歳と十一歳の子どもを育てながら暮らしています。
ふたりの子どもは、難病と障害があり、定期的に数カ所の病院へ通わなければなりません。そのため、佐々木さんは、フルタイムで働くことはできず、パートの仕事にしか就くことができません。
パート収入は「どんなにがんばっても月十二万円ほど」(佐々木さん)です。パート収入と生活保護費とあわせた生活費は月約二十四万円。うち、生活保護費は、母子加算約二万三千円を入れて月十数万円です。
成長期の子どもを抱えて食費と衣服代がかさむため、ぎりぎりの生活です。足りなくなって、子どものお年玉を借りたこともありました。
「余裕はないけれど、子どもにつらい思いはさせたくないとやり繰りしています。母子加算の削減は、ほんとうに痛い」と佐々木さん。
安倍内閣は、母子加算を廃止する理由を、加算があるために被保護世帯の方が保護を受けていない世帯の実所得より上回るからとしています。
母子加算に、生活保護制度のぬくもりを感じてきた佐々木さんはいいます。
「政府は、生活保護の水準以下の生活を強いられている人たちの生活レベルを上げる対策こそ取るべきではないでしょうか。それが、ほんとうの再チャレンジできる国づくりじゃないですか」