2006年12月27日(水)「しんぶん赤旗」
「国民のための公共住宅はもうつくらない」って本当?
〈問い〉 国民のための公共住宅はつくらないで、住宅は不動産市場にゆだねることになったと聞いてびっくりしました。本当ですか?(東京・一読者)
〈答え〉 日本の住宅政策の3本柱であった公営住宅、公団住宅制度、住宅金融公庫による固定金利による低利・長期の住宅融資制度は政府の住宅政策ですべて改変されました。
たとえば東京都が供給、管理する都営住宅は1998年以来新規建設ゼロです。香川県のように現在の戸数を3割削減することを表明した地方自治体もあります。公営住宅法は「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」することを目的にして供給・管理されているものです。
ところが政府はそれに反して、これまで公営住宅建設財源は、国庫負担金(建設費の2分の1)でまかなわれていたものを地方交付金で建設する仕組みにしたため、財政難に陥っている地方自治体では公営住宅を建設することに消極的になっているのです。
さらにことしの国会で「住生活基本法」を制定し、その目的を「国民経済の健全な発展に寄与する」ことにし、住宅建設を民間まかせにする路線をさらに拡大しました。また従来は建設後40年ぐらい経過している住宅については建て替えをし、高層化して戸数を増やしていましたが、現在は建て替え後住宅に入居を希望する世帯の分しか建設せず、余った土地を民間に売却することを促進しているため戸数は逆に減っています。
また公団住宅も民営化政策で住宅建設から完全撤退し、名称も都市再生機構に変え都市の再開発に重点を置いています。
政府は「1世帯1住宅」は達成しているのでもうこれ以上公共住宅をつくらず、「セーフティネット(安全網)」対策として所得階層25%以下(月収20万円以下)の世帯しか入居できない仕組みにしているため、若い子育て世帯は入居できないのです。この入居基準をさらに引き下げようとしています。
家賃が低廉で住みよい住宅を求めている世帯は多く存在します。事実、都営住宅の2005年の募集戸数は3061戸にたいして、応募者数は12万2095人におよび、応募倍率は40倍にもなっています。
日本共産党は公共住宅の新規建設とともに、入居基準を引き上げ、平均的なサラリーマンが入居できるよう改善することなどを要求しています。(高)
〔2006・12・27(水)〕