2006年12月28日(木)「しんぶん赤旗」
派遣労働者12・4%増
05年度 255万人 過去最高更新
厚生労働省が二十六日発表した二〇〇五年度の労働者派遣事業所の報告のまとめによると、派遣労働者数は、前年度より12・4%増加し、二百五十五万人になりました。過去最高を更新しました。
派遣事業全体の売上高は、前年度より41・0%増の四兆三百五十一億円をあげ、急激な膨脹ぶりを示しています。派遣労働を利用する事業所数も32・7%増加の六十六万件です。
派遣労働者数のうち、派遣会社に社員として雇用される常用雇用労働者は、前年より65・9%増の四十五万五千人です。仕事をするときだけ雇用される「登録型」は4・8%増の百九十三万三千人で、派遣労働者の大半を占めます。
労働者派遣業が急激に拡大する一方、派遣労働者の一日平均賃金は「登録型」で前年度比7・8%減の一万五百十八円、「常用型」で10・9%減の一万四千二百五十三円と大幅に下がっています。
企業が、正社員から非正規雇用への置き換えを進める中で、利潤拡大のために、派遣労働者の賃金も押し下げていることを改めて示しています。
相対的に賃金の低い業種での低下も目立ちます。「登録型」が主の一般労働者派遣事業では、派遣労働者の42%を占める「事務用機器操作」で11・8%減の九千九百五十円、「ファイリング」で3・6%減の九千五百七十六円、「建築物清掃」で1・0%減の七千六百五十八円などです。
また、教育訓練を受けている派遣労働者は、対象者二百六十万人に対して、仕事をしながらの訓練を含めても四万四千人にすぎません。
企業が、派遣労働者の中から、直接雇用するかどうかを選べる「紹介予定派遣」は、前年から69・4%も増加し、三万二千九百九十一人になりました。このうち、派遣先が直接雇用したのは、85・6%増の一万九千七百八十人です。
企業が労働者派遣事業者に対して、申し込んだ紹介予定派遣の数は、雇用数を大幅に上回る89・1%増の十万九千二百六十三人で、企業が採用予定数の一部を派遣労働者としている実態を裏付けています。
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