2006年12月30日(土)「しんぶん赤旗」
イラク派遣の米軍三沢F16
「対テロ戦」任務追加
来年1月
イラクでの軍事作戦などを支援するため米空軍が来年一月に編成する「航空遠征軍」(AEF)に、米軍三沢基地(青森県)所属のF16戦闘機部隊が参加することが明らかになっています。同部隊のイラクでの任務は地上部隊の作戦支援です。敵の防空網破壊を主要任務にしてきた同部隊に、新たに「対テロ戦」の任務が加わることになります。
AEFに参加する三沢基地のF16戦闘機部隊は、第三五戦闘航空団の第一四戦闘飛行中隊で、派遣人員は整備要員などを含め二百人以上とされています。米空軍発表のニュースなどによると、同中隊のイラクでの任務は「近接航空支援」とされ、地上部隊の作戦支援のため近距離の目標に攻撃を加えます。
米軍準機関紙「星条旗」十三日付は、イラクで具体的に想定されている任務は▽路上爆弾から米軍車列を守るため、その移動ルートに不審な人物がいないかどうかの捜索▽敵の待ち伏せ攻撃に対する地上部隊の援護―と報じています。同中隊のF16戦闘機には、そうした目標を捕そくするための最新装置も装備されたとしています。
三沢基地のF16戦闘機部隊(注)はソ連崩壊後の一九九〇年代半ばから、敵の防空レーダーや地対空ミサイル施設などを破壊する「敵防空網制圧」(SEAD)を主要任務にしてきました。
それと軌を一にして、イラクの「飛行禁止空域」の監視を口実にした防空施設などに対する空爆作戦への参加が常態化。第一四戦闘飛行中隊は二〇〇三年三月のイラク戦争開戦で、非ステルス機によるバグダッドへの初空爆も行いました。
三沢基地のF16戦闘機部隊のイラク派遣はそれ以来となります。第一四戦闘飛行中隊の作戦指揮官は、イラクでの新たな任務について「われわれの飛行(任務)の変革」と強調しています(米空軍発表のニュース六日付)。そのために同中隊は八月から準備を進めてきたともしています。その間、三沢基地のF16戦闘機は日本国内で、訓練用の模擬爆弾を太平洋上や基地の滑走路に落下させる事故なども起こしています。
今回の派遣は、三沢基地がイラクでの米軍の無法な軍事作戦に直結することを意味するものです。
(注)三沢基地のF16戦闘機部隊は、第一四戦闘飛行中隊のほか第一三戦闘飛行中隊があります。