2006年12月31日(日)「しんぶん赤旗」

主張

暮らしを守る

国民のたたかいが歴史を刻む


 この一年、貧困と格差の広がりが社会問題となりました。ことしの新語・流行語にも「格差社会」をはじめ、OECD(経済協力開発機構)の調査で先進国で日本が二番目に高い「貧困率」、あるいは「勝ち組・負け組」があがりました。

 貧困と格差の広がりは、雇用、社会保障の破壊と結びついています。製造業の大企業が使用者責任を逃れ、人件費を削るための「偽装請負」も流行語の一つに数えられ、社会問題となりました。弱者を食い物にするサラ金の高金利の温床となってきた「グレーゾーン金利」という言葉も、国民の間に急速に広がりました。

現実政治を動かす成果

 同時に、貧困と格差を象徴するこれらの社会問題にたいし、国民運動と連携した日本共産党の国会での追及で、現実政治を動かす一連の成果をかちとることができました。

 日本共産党の志位和夫委員長は、臨時国会閉会の国会議員団総会(十九日)で、「偽装請負」問題、サラ金規制、障害者自立支援法をめぐるたたかいなどをあげました。

 「偽装請負」をただすたたかいでは、各職場で改善させただけでなく厚生労働省に是正の通達(九月四日)をださせました。サービス残業根絶の通達(二〇〇一年四月)に続く成果であり、職場から無法を一掃する大きな力です。サラ金規制では、「グレーゾーン金利」を廃止する法改正をかちとりました。

 障害者自立支援法をめぐっても、政府は負担軽減策を補正予算と来年度予算案に盛り込まざるをえなくなりました。政府はいまなお応益負担に固執しており、今後の運動が重要ですが、ここまで政府・与党をおいつめたのは大きな前進です。

 政府がいくら景気の順調な回復をいいたてても、その「実感がない」国民が八割近くにのぼります(「読売」世論調査、二十七日付)。その背景には、貧困と格差の広がりがあります。賃金が上がらない、企業が正社員ではなく非正規で雇うケースが増えている、といった生活の実態から、国民は政府の景気回復判断に“異議あり”の答えをだしています。

 税金をめぐっても、高齢者を中心に、急激な増税・負担増が襲いかかり、六月の住民税通知を境に、日本列島の津々浦々で怨嗟(えんさ)の声が沸騰したまま消えることはありません。

 貧困と格差の広がりの根底には、日本共産党が指摘してきたように、異常な大企業中心主義の政治があります。

 今年を回顧し来年を展望するマスメディアの企画のなかで、ワーキングプア(働く貧困層)と非正規労働者の増加の事実をあげて、企業の露骨なもうけ主義に目をむける発言が出ていることは注目されます。

 「労働では財界主導の『切り捨て』路線が進む」「企業は人件費削減に必死だが、…マクロとしては経済の停滞につながる」「企業は露骨にもうけることばかり考えている」(「朝日」二十七日付)。

来年も力をあわせて

 国民の多数を占める働く人々の生活と雇用を脅かす政治にたいする国民の怒りがマスメディアにも反映しています。政府は、労働者を残業代なしで何時間でも働かせる労働法制の改悪方針を打ち出し、来年の通常国会に法案を提出しようとしています。こうした労働を破壊する動きと働く貧困層の拡大に「来年は政治全体に対して人々が爆発することもありうる」との見方もあります。

 蓄積された“マグマ”を、政治を動かす現実の力とするために、来年も力を合わせましょう。


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