2007年1月4日(木)「しんぶん赤旗」
最新鋭機を前提 米軍文書で判明
運用可能な1800メートル滑走路
事故多発機 爆音被害も深刻
名護新基地
米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わるキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)の新基地は、最新鋭の垂直離着陸機MV22オスプレイの使用を前提に滑走路の長さが決められている可能性があることが、米軍文書から判明しました。
同文書は、米太平洋軍が昨年九月下旬に公表した「グアム統合軍事開発計画」(後に非公開扱い)。グアムにオスプレイを配備する構想を明らかにし、「MV22(オスプレイ)が運用できる長さ約千八百メートル(五千九百フィート)の滑走路が必要」としています。その理由として、そうした滑走路があれば「計器飛行方式(IFR)のヘリパッド(離着陸場)として使用することが十分できる」としています。
長さ一致
オスプレイは垂直離着陸機ですが、通常は燃料の節約などの理由から滑走路を使用します。
一方、昨年五月の在日米軍再編「最終報告」では、キャンプ・シュワブ沿岸部の新基地にV字形の二本の滑走路を配置するとしました。それぞれの滑走路は「千六百メートルの長さを有し、二つの百メートルのオーバーランを有する」とし、全体で「千八百メートル」になるとしています。前出の文書がオスプレイの運用に必要とした長さとまったく同じです。
名護市は滑走路の長さを千三百メートルに短縮するよう求めていますが、政府は強く拒否しています。
日本政府は、新基地で運用されるのは「現在、普天間基地に配備されている輸送ヘリおよび空中給油機を除く固定翼機」で、オスプレイの配備は「想定していない」としています。
新基地では、「有視界飛行」ルートと「計器飛行」ルートを設定(地図)。通常、ヘリ部隊は有視界飛行ルートを使用し、計器飛行ルートは「(普天間基地が)小型輸送機三機を抱えている」(額賀福志郎前防衛庁長官)として、わずかな機数の小型固定翼機の使用が中心だと説明しています。
交代方針
しかし、米海兵隊は二〇一二年にも普天間基地に配備しているCH46中型ヘリをオスプレイと交代する方針です。在沖縄米海兵隊のメディーナ准将は昨年八月、衆院沖縄・北方特別委員会との懇談で、新基地でのオスプレイの運用は「可能だ」と答えています。
オスプレイの使用が想定されているのは間違いありません。
また、普天間基地から米海兵隊岩国基地(山口県)を中心に移転が計画されているKC130空中給油機の離着陸に必要な距離は千六百メートルです。「移転」後も新基地を頻繁に使用する可能性があります。
爆音が大きく、墜落事故が相次いでいることから、米国内でも配備に疑問の声が出ているオスプレイが自由自在に飛行することになれば、深刻な爆音被害や事故の危険はいっそう増大することになりかねません。(竹下岳)
MV22オスプレイ 両翼のローター(回転翼)の向きを動かすことで、ヘリコプターのような垂直離着陸や、固定翼のプロペラ機のような飛行ができます。自力展開能力は3900キロに及び、海兵隊の遠征能力が大幅に強化されます。不安定な構造のため事故を繰り返し、昨年3月に米本土へ実戦配備された直後にも墜落しました。
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