2007年1月5日(金)「しんぶん赤旗」
介護保険料・利用料 軽減させた
住民と共産党が運動
高い保険料と利用料負担がお年寄りを苦しめている介護保険制度。だれもが安心して利用できる介護制度にするため、日本共産党は、全国各地で住民と力を合わせ、負担を軽減する制度を実現しています。(秋野幸子)
年2500円 異例の引き下げ
3600人超える署名力に
埼玉・鳩ケ谷
埼玉県鳩ケ谷市では昨年十二月の市議会で、六十五歳以上の高齢者が払う介護保険料の引き下げを全会一致で決めました。一人あたり平均で年二千五百円の引き下げです。三年ごとの見直し時期以外の保険料引き下げは、埼玉県で初めて。全国的にも異例のことです。
引き下げの発端は、昨年四月の保険料大幅アップでした。月平均(基準額)二千八百五十八円が一気に四千二百五十円へはね上がり、県内最高額になったのです。
国の税制改悪も重なって、市役所には苦情や問い合わせが殺到。日本共産党鳩ケ谷市議団(四人)のアンケートには、「介護保険料の軽減」を求める声が圧倒的多数を占めました。市議団は引き下げを求める署名を開始。返信用封筒をつけた署名用紙を全戸配布すると、一週間で七百五十人分が返送されてきました。
「昨年の倍以上介護保険料が高くなり、払いきれません。間違いではないかと市役所に問い合わせたくらいです。何とかしてください」。署名用紙の余白には切実な思いがびっしり。切々と思いをつづった手紙を同封する人もいました。自分でコピーして何枚も集めた人も。街頭署名には列ができることもあり、全体で三千六百人を超える署名が集まりました。
市議会では、新事実が判明します。二〇〇五年度介護保険特別会計決算が、一億二千七百万円もの黒字になったのです。
日本共産党は市議会質問で、県からの借り入れ金九千四百万円をただちに返済し、黒字分のお金を保険料引き下げにあてるべきだと提案。しかし市当局は、大幅な黒字を基金に積み立てる姿勢を変えませんでした。
十月の市長選・市議選で事態が動きます。市議選では、日本共産党だけが保険料の引き下げを公約し、四人全員当選。市長選では最初、日本共産党が推薦する吹上早苗氏だけが引き下げを主張していましたが、世論に押されて、木下達則氏(現市長)も引き下げを掲げる状況になりました。
そして、十二月議会で、市提案の保険料引き下げ案を可決したのです。
保険料引き上げと国の税制改悪で月約四千二百円から約九千円へと二倍以上の保険料になった夫妻は「少しでも下げていただくと助かります」といいます。夫は脳こうそくで倒れて半身まひ。週三回のデイサービスに加え、電動ベッドの利用料など負担はかさみます。「先のことを考えると不安でしようがなかった」と、妻は少しほっとした表情です。
日本共産党の豊原美代子市議は「三千六百人分を超える署名をはじめ、市民の声と運動が市政を動かした結果です。同時に“引き下げはうれしいが、額が少ない”という声もあるので、さらなる引き下げと市独自の減免制度の創設を求めて引き続きがんばります」と語っています。
減免実施は3割
低所得者に対して保険料や利用料を減額・免除する制度を独自におこなっている市区町村は、厚生労働省の調査で昨年四月一日現在、保険料が五百五十五(全体の33・0%)、利用料が三百九十五(同21・4%)です。
保険料の減免制度がある市区町村は〇五年まで毎年増え続けていましたが、昨年初めて減少しました。利用料についても二年連続で減っています。
各地で住民と日本共産党が力を合わせて減免制度を実現させてきた一方で、減免を実施していた自治体が市町村合併によって制度を続けられなくなる事例が相次いでいることが影響しています。
無駄遣いせず市民のために予算を使うという心で
在宅利用者8割に助成
党員市長の提案で実現
秋田・湯沢
在宅サービス利用者の八割を対象に、利用料負担を助成しているのが、秋田県湯沢市です。対象者がこれだけ多い自治体独自の軽減制度は、全国でもめずらしいものです。
湯沢市の軽減制度は、あまり利用者のいない訪問リハビリテーションと短期入所療養介護を除くすべての在宅サービスの利用料を軽減するもの。住民税本人非課税(世帯課税)も対象になるため、幅広い人に適用されます。利用料(10%)のうち、4%を市が助成します。必要な財源は、〇六年度予算で四千六百八十万円です。
この軽減制度は、日本共産党員である鈴木俊夫市長の提案で実現したものです。〇五年十月から実施されています。
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鈴木市長は〇二年、旧湯沢市で市長に初当選。公約していた介護保険利用料の半額助成を実現し、市民から「おかげでデイサービスの回数を増やせた」「本当に助かる」と歓迎されました。
〇五年三月に、四市町村合併で誕生した新しい湯沢市の初代市長に選ばれました。
鈴木市長は「周りの町村の人から“合併したらうちの町でもぜひやってほしい”という要望をたくさんいただいており、新しい湯沢市でも利用料の助成制度を実現することができました。市の財政に余裕があるわけではありませんが、無駄遣いをやめて市民のために予算を使うという姿勢を心がけていきたいと思います」と語っています。